マンション購入ガイド

2017.06.09

Question

マンション購入にうれしい住宅取得資金贈与の特例とは?

マンションの購入を考えており、購入の資金に関しては親の援助を受ける予定になっています。 贈与税に関して心配になり調べたところ、マンション購入に関して資金援助をしてもらう際、住宅取得資金贈与の特例というものがあることを知りました。住宅取得資金贈与の特例とはどういったものでしょうか?教えてください。

Answer

住宅取得資金贈与の特例を使うと、一定金額までは贈与税がかからずに、そのお金を住宅購入資金にあてることができます。条件に注意してうまく活用しましょう。

情報提供:ファイナンシャルプランナー 吹田 朝子

住宅取得資金贈与の特例とは?

お金の贈与にも税がかかる
「自分たちの稼ぎでは、なかなかマイホームまで手が出ない」と思っていても、親や祖父母から「家を買うお金だったら援助するよ」と言ってもらえることは結構多いのではないでしょうか?

そんな時、通常は1年間に110万円を超えるお金をもらうと贈与税の対象になってしまいます。

非課税になる「特例」
住宅購入用資金というと、110万円を超えた金額、例えば300万円や500万円、中にはもっと、まとまった多額の援助を受ける方もいるかもしれません。

そんな時に、重宝するのが「住宅取得資金贈与の特例」という制度。これを使うと、一定金額までは贈与税がかからずに、そのお金を住宅購入資金の一部に入れることができるのです。

住宅取得資金贈与の特例を使える条件とは?

「住宅取得資金贈与の特例」は、マイホームを取得する際に親や祖父母から資金の贈与を受ける場合に使える制度です。

省エネなどの条件を満たした良質な住宅の場合は、非課税で贈与を受けられる限度額が一般の住宅よりもさらに500万円上乗せされるという特典もあります。

主な要件は以下の通りになりますので、チェックしてみましょう。

<誰から誰への贈与で使える?>
・実の親や祖父母(直系尊属)から、20歳以上(1月1日時点で)の子や孫への贈与

<資金使途は?>
・自分の居住用の住宅取得資金 (ただし、配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人からの住宅用家屋の取得は除く)

<いくらまで非課税?>
・住宅用の家屋の種類や契約の締結日に応じて金額が異なる

《表1》
[消費税率10%以外の住宅を取得する場合]

契約締結期間 省エネ等住宅※1 一般住宅
2016年1月~2020年3月 1,200万円 700万円
2020年4月~2021年3月 1,000万円 500万円
2021年4月~2021年12月 800万円 300万円

[消費税率10%の住宅を取得する場合]

契約締結期間 省エネ等住宅 一般住宅
2019年4月~2020年3月 3,000万円 2,500万円
2020年4月~2021年3月 1,500万円 1,000万円
2021年4月~2021年12月 1,200万円 700万円

※1「省エネ等住宅」とは、以下の省エネ等基準のいずれかに適合する家屋を指します。
1.断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
2.耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
3.高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

<家屋の新築または取得の場合の主な要件は?>
・家屋の登記簿上の床面積(マンションの場合には、その区分所有する部分の登記簿床面積)が50㎡以上240㎡以下
・家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるもの
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額をあてて住宅用の家屋の新築等をすること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること。または、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること

通常の贈与と比べてどれくらいメリットが出る?

仮に父から500万円、祖母から500万円、合計1,000万円贈与を受けるとしましょう。

暦年課税の場合
一般的に使途などを問わず、1年間に110万円までは非課税という「暦年課税」で贈与税の計算をすると、

贈与税額=(贈与財産1,000万円-基礎控除110万円)×贈与税率(890万円の贈与については税率40%)-控除額(890万円贈与の場合125万円)=231万円

となり、1,000万円をもらっても、231万円は贈与税として納税するので、実際に住宅購入に充てられるのは、769万円分になってしまいます。

住宅取得資金贈与の特例を使う場合
これが「住宅取得資金贈与の特例」を使って申告をすると、省エネ等住宅で、2021年の3月まで契約なら、贈与税がゼロでかからないことになります。

また、この「住宅取得資金贈与の特例」は毎年110万円の暦年課税、あるいは「相続時精算課税制度※2」のどちらかと併用することもできます。そのため、この特例を使うと、ある程度まとまった金額を非課税で支援してもらうことができるのです。

※2「相続時精算課税制度」とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫へ生前贈与する場合に、一定金額(2500万円)までは贈与税ではなく、相続時に相続税の対象として計算される仕組み。
この制度を一度選ぶと、以降その贈与者から受ける財産はすべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更できないので、選択するかどうかは慎重に検討することが大切。

住宅取得資金贈与の特例を使う際の注意点とは?

このように「住宅取得資金贈与の特例」は、住宅購入という特定の目的で使える特例なので、着実に非課税でお金を受け取れるありがたい制度です。

ただし、税制上のメリットを受けるには、しっかりと期日を意識して申告することが必要です。特に以下の日付は受けられる対象や非課税の上限額に影響が出てしまうので、注意するようにしてください。

契約締結日
日付によって、受けられる非課税上限が変わってしまいます。(前述《表1》参照)

贈与を受ける日と購入資金として支払う日
手付金の支払いなどのために早めに贈与を受けてしまうと、条件(贈与を受けた翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額をあてて購入引渡しを受ける)を満たせないこともあります。
引渡しが翌年3月15日より先になる場合は、引渡し直前に贈与を受ける方がいいでしょう。

引渡しを受けて入居する日
贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住することが必要です。

税務署に贈与税の申告をする期日
贈与を受けた翌年の3月15日までに税務署に申告することが必要です。

以上のように、条件を満たすタイミングや申告手続きの期日をしっかり守ることが重要なので、家族で協力、分担しながら、マイホーム購入の準備を進めるようにしてくださいね。

情報提供:ファイナンシャルプランナー 吹田 朝子

一般社団法人 円流塾 代表理事。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。1人1人の価値観を尊重しながら、暮らしを豊かにするお金との付き合い方を指南。テレビや新聞などのメディアや著書でも活躍中。