マンション購入ガイド

2017.06.09 更新:18.09.07

Question

住宅取得等資金贈与とは?マンション購入で親からの資金援助の特例をご紹介

マンションの購入を考えており、購入の資金に関して親の援助を受ける予定になっています。 贈与税が心配になり調べたところ、住宅取得等資金贈与の非課税という制度があることを知りました。住宅取得等資金贈与の非課税とはどういった制度なのでしょうか?教えてください。

Answer

住宅取得等資金贈与の非課税制度とは、一定の期間内に一定の限度額までの父母や祖父母などからの住宅の資金目的の贈与に対して、税金がかからないお得な制度のことです。条件に注意しながら、うまく活用しましょう。

情報提供:ファイナンシャルプランナー 吹田 朝子

親からの資金援助にかかる贈与税とは?

資金を調達するには、さまざまな方法があります。銀行から借りるという方法もあれば、親から資金を援助してもらうことも、その方法のうちの1つ。ですが、その資金援助にも通常、贈与税という税金がかかることを、ご存じでしたか?

親からの資金援助にも税金かかる
親からの資金援助を考えている方は、その金額に注意が必要です。
資金の贈与は、あげる人ともらう人両方の意思表示が必要で、これが成立したら、たとえ家族であったとしても贈与税の対象になります。

まず、資金使途を問わず贈与があった場合には、次の2つの課税方法があります。

[ 1 ] 暦年課税
暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超えた贈与には、贈与税という税金がかかるという課税方式。
贈与が110万円を超えた場合に、かかった分の金額に対してだけ、税金が発生します。年間110万円以下でしたら、税金の申告も不要です。

[ 2 ] 相続時精算課税
もう1つの相続時精算課税は、2500万円以下の贈与であれば、贈与税はかからないが、その贈与財産は贈与時の価額で、相続財産として計算されるという制度です。その名前からわかるように、贈与税と相続税を一体化するもので、贈与税より相続税のほうが、税率は低いので、生きている間の生前贈与を促すことを目的としています。

●適用範囲
適用範囲にも違いがあります。暦年課税の場合は、親族以外の第三者にも適用されるのに対し、相続時精算課税はマイホーム取得資金の場合、親または祖父母が贈与者であるという条件がありますが、贈与者の年齢制限はありません。また受贈者は20歳以上の子どもまたは孫である必要があります。

●注意点
控除額が大きく、一見は住宅やマンション購入では有利に思える相続時精算課税制度ですが、注意したいのは、相続時に相続財産として合算されるので、完全に非課税というわけではないということです。暦年課税の場合は、通年ごとの控除額は低いものの、贈与された財産は相続財産とは切り離されるので、相続税の計算対象にはなりません。

しかも、一度、相続時精算課税制度を選ぶと、一生にわたって暦年課税は使えないことも要注意です。一度選ぶと撤回できないのは、相続時精算課税が、暦年課税のように毎年繰り返し使えるものではなく、一生のうちで合計2500万円以下の控除額を設定しているからです。

相続時精算課税は、自ら申請しないかぎりはこの課税方式を取ることができません。申請がない場合は、自動的に暦年課税の方式で算出されることになります。

住宅購入目的なら、特別な非課税制度が!
人から資金をもらうには、その額によって、家族であっても税金がかかるというお話しをしましたが、戸建てやマンション購入を予定している人には、住宅取得等資金贈与の非課税という、特別な制度が利用できる場合もあります。

住宅取得等資金贈与の非課税制度とは?

戸建てやマンション購入を検討している人はぜひチェックしたいこの制度。住宅取得等資金贈与の非課税制度とは、簡単に言うと、住宅購入目的であるなら、贈与にかかる税金を免除してくれるというものです。時期や住宅の条件によっては非課税の限度額が1000万円を超えるものも。
具体的なメリットなど、ここではわかりやすくご紹介していきます。

購入する住宅によって、非課税の限度額が変わる
住宅取得等資金贈与の非課税制度は、住宅購入の契約締結日や、住宅の種類によって、その非課税限度額が変わっていきます。以下に内容をまとめました。

[ 2016年1月1日 ~ 2020年3月31日の間で契約締結 ]
一般の住宅(登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下)は700万円が非課税限度額になります。

さらに「省エネ等住宅」という条件として、断熱や冷暖房設備など建物全体の省エネ性、耐震性、そして、バリアフリーなど高齢者に配慮する基準を満たした高品質住宅の場合は、1200万円まで非課税の上限が引き上げられます。

さらに2019年に消費税が10%に変わった場合は、一般の住宅は2500万円まで、省エネ等住宅は3000万円まで非課税限度額が引き上げられます。

[ 2020年4月1日 ~ 2021年3月31日の間で契約締結 ]
一般の住宅は500万円、省エネ等住宅であれば1000万円までを非課税限度額とすることができます。
期間中に消費税が10%に変わった場合は、一般の住宅は1000万円、省エネ等住宅は1500万円を非課税限度額とすることができます。

[ 2021年4月1日 ~ 2021年12月31日の間で契約締結 ]
一般の住宅は300万円、省エネ等住宅であれば800万円までを非課税限度額とすることができます。
期間中に消費税が10%に変わった場合は、一般住宅は700万円、省エネ等住宅は1200万円を非課税限度額とすることができます。

住宅取得等資金贈与の非課税制度に関しては、マンガコンテンツでもわかりやすくご紹介しています。これを機会に、一緒にチェックしてみましょう。

■マンガでわかるマンション購入「すまいの相談室」

第3話 新築マンションに必要なお金って?

住宅取得等資金贈与の非課税の条件とは?

税金の節約にぜひ利用したい、「住宅取得等資金贈与の非課税」という制度。住宅購入を検討していて、親からの援助を検討している人は、必ずチェックしておきましょう。制度を利用するにはどんな条件が必要なのでしょうか。具体的な要項など、ここではわかりやすくご紹介いたします。

受贈者(もらう側)の条件は、主に7つ
住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用するには、資金の援助をしてもらう受贈者側に対して、主に以下の7つの条件があります。

[ 1 ] 贈与者の直系(子や孫)であること
[ 2 ] 一度も住宅取得資金贈与の非課税制度を利用したことがないこと
[ 3 ] 贈与を受けた年の、受贈者の合計所得が2000万円以下であること
[ 4 ] 贈与を受けた年の1月1日時点で、20歳以上であること
[ 5 ] 配偶者、親族など、特別な関係のある人から住宅を取得(購入)していないこと
[ 6 ] 贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与金の全額を充てて住宅を購入し、居住しているか、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であること
[ 7 ] 贈与を受けた時に受贈者が日本国内に住所を有していること

受贈者が住む住宅にも、条件がある。
住宅取得等資金贈与の非課税制度の適用を受けるには、実は住む住宅にも条件があります。
まず、購入した戸建てやマンションの床面積が、50平米以上であり、240平米以下で、かつその床面積の1/2以上に相当する部分が受贈者自身の居住用(※)という条件を満たしていないと、制度が適用されません。(※賃貸併用など、他者へ貸す際はその面積に要注意)

床面積の条件を満たし、かついずれかの1つを満たすことが条件になります。

[ 1 ] 建築後、使用されていない新築であること
[ 2 ] 中古物件の場合は、20年以内の築年数であること。
耐火建築物の場合は、25年以内の築年数であること
[ 3 ] 中古物件の場合は、地震に対する安全性が書類によって証明されていること
[ 4 ] いずれの条件も満たしていない中古物件の場合は、その物件に耐震改修を行い、安全性が書類によって証明されていること

住宅取得等資金贈与の非課税の申告方法と必要書類とは

受贈者の条件、住宅の条件を合わせて満たせることがわかった後、気になるのが申請方法。具体的にどのような手続きを取れば、制度を利用できるのでしょうか。申請の仕方や必要な書類など、ご紹介していきます。

必要書類を用意しよう
住宅取得等資金贈与の非課税制度の適用を受けるには、年度末の確定申告の際に、確定申告書類とは別に、もうひとつ申告書を記入し税務署に提出する必要があります。

既定の申告書に必要事項を記入しましょう。申告書は国税庁のホームページよりダウンロードすることができます。 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/yoshiki2017/01.htm

申告書に添付する書類として、まず必要なのは以下の4つ。
・受贈者に関する書類として
[ 1 ] 戸籍の謄本
[2] 源泉徴収票
・住宅に関する書類として
[ 3 ] 登記事項証明書
[ 4 ] 取得した住宅の売買契約書の写しや新築の工事請負契約書
更に住宅に関して、
省エネ等住宅の適用を受ける場合は、それを証明する書類も必要になります。

暦年課税などの制度との併用も可能
この住宅取得等資金贈与の非課税制度は、暦年課税あるいは相続時精算課税制度のどちらかと併用することができます。

例えば一般住宅で、800万円の贈与を受けた場合、住宅取得等資金贈与の非課税限度額の700万円を利用すると残りは100万円なので、さらに暦年課税の年間110万円までの非課税枠を使って、贈与税をゼロにすることが可能です。

また、一般住宅で同様に2000万円の贈与を受けた場合、住宅取得資金等贈与の非課税限度額の700万円を利用するほか、残りの1300万円分は、相続時精算課税制度を利用することができます。

住宅取得資金贈与の非課税制度を利用する際の注意点

戸建てやマンションを購入する際にお得な非課税制度。条件があてはまる人であればぜひとも利用したい制度ですが、なかにはさまざまなことが理由で、制度が適用されなかったケースもあります。ここで制度利用にあたってありがちな失敗を、具体例とともに交えながらご紹介していきます。

申告期限を過ぎてしまった
贈与税の申告期限は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までです。期限内での申告と納税を済ませるようにしましょう。また、住宅取得等資金贈与の非課税を適用した場合に税金がゼロになっても、きちんと申告の義務があります。申告をしないことには、非課税の適用が受けられないので、注意しましょう。

合計所得金額が2000万円を超えてしまった
ありがちなのが複数の所得があるなどで、所得金額の合計を計算しなおしてみると、合計2000万円以下という条件を満たせなかったケース。この合計所得は、給与所得のほかにもさまざまな所得が含まれます。最近は、転職や副業や資産運用などによる所得なども身近になってきていますが、例えば転職による退職金も合計所得に含まれて、うっかり条件を満たせなくなったという例もみられます。

また、手取りの収入が2000万円を超えていなくても、所得計算上で合計2000万円以上を超えてしまい、適用外となってしまうケースもあるので注意が必要です。
制度を利用する際は、見過ごしがちな所得について事前にしっかりと試算しておきましょう。

住宅購入の後に、贈与を受けてしまった
住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用するには、必ず住宅購入の前に贈与を受ける必要があります。この点も注意しましょう。

住宅の工事の遅れから引き渡しが遅れ、申告期限を過ぎての引き渡しとなってしまった
天候の不順などで建築の工事が遅れ、マンションや戸建ての引き渡しが遅れるケースもあります。引き渡しが遅れたことにより、申告期限を過ぎると、制度の利用ができなってしまうことも。工事が遅れることなども考慮し、業者には申告手続きのことをしっかり伝えて、十分に余裕を持った引き渡しのスケジュールを引いておくことをおすすめします。

以上、住宅取得資金に関する贈与のいくつかの非課税制度について、ご紹介してきました。住宅購入の際には様々な出費が予想されます。親族からの援助をしてもらう際には、そこにかかる税金とともに、利用できる制度もしっかりチェックしておきたいところです。

また、課税方法にも種類があり、それぞれの特徴・注意点を見比べつつ、自分や家族に合った選択をしましょう。住宅購入を賢くすすめるためにも、税金に関わる情報収集を忘れずに。

情報提供:ファイナンシャルプランナー 吹田 朝子

一般社団法人 円流塾 代表理事。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。1人1人の価値観を尊重しながら、暮らしを豊かにするお金との付き合い方を指南。テレビや新聞などのメディアや著書でも活躍中。