マンション購入ガイド
住宅ローン控除(減税)の期間が3年延長!改正内容や対象者の条件は?
2019年の消費税増税に伴って、住宅ローン控除の制度が一部改正されると聞きました。具体的な内容を教えてください。

新規住宅ローン控除の適用期間が10年間から13年間に延長されます。ただし、期間延長を受けるにはいくつかの住宅購入条件を満たす必要があります。
情報提供:税理士 宮原 裕徳
目次
住宅ローン控除(減税)の期間延長!その改正内容は?
住宅の購入を一度でも検討したことがある方なら、きっと耳にしたことがある「住宅ローン控除(減税)」。住宅ローン控除とは、その年の年末住宅ローン残高×1%(取得年により変動があります)で算出した金額を、所得税、そして住民税の順に割り当てて税金から控除できる(取得年により控除限度額がことなります)という、減税制度のことです。住宅ローン控除制度は、現法では期間を10年間と定めてきました。
控除期間が10年から13年に延長
平成26年4月以降に居住した住宅にかかる控除制度の対象となる住宅ローンの年末残高は、最大4,000万円までという上限が定められています。
つまりこれまでは10年間で最大400万円までが控除されるケースがあったということです。この住宅ローン控除の10年間という期間が、13年まで延長されると政府が発表しました。
延長の理由は国の政策により、2019年の10月1日以降から消費税が8%から10%に増税されるためです。消費税増税による駆け込み需要と、その反動減の影響を減らすことを目的に、新規に取得した住宅にかかるローン控除制度の控除期間延長が決められました。元々は15年まで延長されるという話もありましたが、今回は13年までの期間延長となったようです。
延長される3年間は控除額の算出方法が変わる
住宅ローン控除が延長される期間、すなわち11年目から13年目のあいだは、控除額の算出方法が変わります。算出方法は、以下の2つのうち、小さい額のほうが適用されることになります。
- [ 1 ]住宅ローンの年末残高(4,000万円を上限)の1%(従来の算出方法)
- [ 2 ]建物購入価格(4,000万円を上限)×2%÷3
※認定長期優良住宅や低炭素住宅の場合:借入金年末残高の上限:5,000 万円、建物購入価格の上限:5,000 万円
この期間延長と控除額の算出によって、増税後に住宅購入をした場合でも負担が緩和されます。

期間延長を受けるための条件とは?
住宅ローン控除制度の期間延長は、一見は嬉しい改正のようにも思えますが、一点だけ注意が必要です。それは期間延長を受けるには、対象者の条件があるということ。期間延長を受けるための具体的な条件について説明していきましょう。
住宅ローン控除(減税)延長の対象者は「新規住宅購入者等」
今回の期間延長は、消費税増税による駆け込み需要とその反動減のリスクを軽減し景気変動の安定化を目的としています。なので、期間延長の対象者は、消費増税による負担を大きく受ける、消費税増税後の住宅購入者等を対象としています。
13年間の住宅ローン控除が適用される期間も設定されており、2019年の10月1日から、2020年の12月31日までのあいだに入居を済ませている方が対象となります。
住宅の経過措置を覚えておこう
住宅の新規購入者等によっては、経過措置が適用されるケースもあります。住宅ローン控除における経過措置では、13年間の住宅ローン減税を受けることができるのは、2019年4月1日以降の契約で2019年10月1日以降の入居が条件となります。経過措置の適用に選択権はなく、基本的には自動的に適用される形になりますので、しっかりと確認しておきましょう。
入居のタイミングに注意しておこう
対象となる条件のなかで注意しておきたいのが、期間内に「購入」をするのではなく、「入居」を済ませている必要があるということです。2019年の10月1日から、2020年の12月31日の期間内に契約を済ませていても、入居が期間を過ぎてしまうと、期間延長を受けることができません。
これから住宅の購入を検討していて、住宅ローン控除を13年間受けたい場合は、住宅の引き渡しや経過措置のタイミングに注意しましょう。

住宅ローン控除の申請は確定申告で
サラリーマン、会社員の方でも、住宅ローン控除を申請する初年度は自身での確定申告が必要になります。初年度以降は会社で行われる年末調整で手続きすることができます。
住宅を購入し入居したからといって、自動的に適用されるものではないので、控除制度を受ける際は、確定申告をして申請する必要があることを忘れずに。
確定申告をして申請する際には、用意するべき書類がいくつかあります。確定申告の手順、必要書類を確認したい方は同サイト内の下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

住宅ローン控除だけじゃない!2019年は住宅購入の控除が大きく動く年!
消費税の増税が予定されることなど、2019年は、住宅購入関連の控除制度が大きく動く年でもあるといえるでしょう。住宅ローン控除以外で変更がある制度に関してもご紹介していきます。
すまい給付金
申請することで最大30万円が給付される「すまい給付金」も消費税増税の影響により、給付額が最大50万円に引き上げ。消費税8%時では、年収510万以下の方のみ対象でしたが、消費税10%時には775万(住宅ローン利用の場合)以下の方も対象となり、要注目の制度です。
下記のページでは、マンガで分かりやすく「すまい給付金」の制度をご紹介しているのでぜひチェックしてみてください。

住宅取得等資金贈与の非課税
住宅取得を目的とした資金贈与にかかる税金を軽減する特例処置である、「住宅取得等資金贈与の非課税」制度でも、控除される額が大きく改正されています。
一般住宅の場合、消費税8%時に最大700万円の控除だったところが、消費税10%時には最大2,500万円まで控除されます。契約締結日の時期によって控除される金額が変わるので、住宅購入の際に贈与を受ける予定の方はよく確認しておきましょう。

増税前後では住宅購入にかかる費用にも差がでてきます。人生のなかでも大きな買い物になる住宅だからこそ、減税・控除制度は少しでもお得に利用したいところですよね。また、具体的にどのくらいの費用の差が生まれるのか、住宅購入の時期にふさわしい時期など、下の記事でもご紹介しているので、合わせてチェックしてみてくださいね。


情報提供:税理士 宮原 裕徳
株式会社ラムチップ・パートナーズ代表取締役。税理士。LAMTIP PARTNERS(Thailand) Co., Ltd. CEO日本と東南アジアの不動産にかかわる会計・税務に詳しい。法人や個人向けに、無駄な税金を払わないための節税対策セミナーなども行う。