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櫻井幸雄の人生相談

2017.12.11

Question

第2回 マンション購入のエリアでもめています。どのように歩みよればいいの?

櫻井先生、初めまして。
現在、マンション購入を考えているのですが、夫と意見が異なり、悩んでいます。
我が家は、40代の夫と私、保育園の子どもが一人います。私も、子どもを保育園に預けて、働いています。再来年には子ども小学生になるので、そろそろ賃貸から分譲マンションへと引っ越そうと考えています。

その、分譲マンションのエリアで夫と意見が合わないのです。
夫は、長男ということもあってか、自分の実家の近くで購入しようとします。正直、会社までの通勤は遠くなるし、夫の実家との関係が頻繁になりそうで、憂鬱です。夫の実家とは適度な距離を保ちたいのですが、理解してもらえません。

分譲マンションのエリアを決めるのに、お互いどのように歩みよればいいのでしょうか?教えてください。
(42歳共働き妻)

マイホームと実家の距離感。これは、いろいろな要素を考慮して決めなければいけません。ご質問のように、あまり近すぎると、行き来が頻繁になる、つまり、距離感が縮まりそうで、気が重い……そう思う方は少なくありません。

なるべく離れていた方が気は楽ですね。
でも、そう遠くない将来、ご両親の片方、もしくは両方が自宅で要介護となる可能性があります。その場合、嫌でもご主人の実家に通うことが多くなるでしょう。要介護とまでいかなくても「ちょくちょく様子を見に行かないと不安」というケースもあります。

現在は、「夫の両親が、あなたの家に頻繁に通うかもしれない」「夫婦そろって、両親の家に行く機会が増える」ことをおっくうに感じるはずです。しかし、ご両親が高齢化し、放ってはおけない状況になったときの行き来は「あなたが一人で、夫の実家に通う」ことも多くなります。

「私の家は、遠いから」と、他の兄弟に世話を託すことができれば、そして他の兄弟が喜んで両親の世話をしてくれるなら問題ありません。しかし、世話を託すことができない場合、あなたも頻繁に行き来をすることになります。そのとき、家の距離が離れていると、手間も疲れも倍加します。

しかし、「車で10分以内」というような近さなら、ストレスが軽減されるはずです。
介護のために寝泊まりする場合でも、デイケアを受けている間、あなたはマイホームに戻って息抜きをすることもできるでしょう。

つまり、将来的な「親の介護」を視野に入れた場合は、親との折り合い、あなたの通勤時間とともに、「親の家の近くに住んでいた方が楽」という事実を考慮しなければなりません。

あなたのご主人とそのご両親はとても仲がよさそうです。となると、老後も近しい関係が続くのではないでしょうか。そのときのことを考えれば、ご両親の家の近くに住んだ方が良いというわけです。

ただし……ここからが大切です。
あなたが、義理のご両親とうまく折り合えない。通勤時間が長くなるのも困るというなら、その気持ちを重視しましょう。ご両親の近くに住んで、不満が溜まり、夫婦関係までおかしくなってはせっかくのマイホームも台無しです。

ご両親の家とは離れた場所に暮らし、ご両親が要介護の状態になったときのことは、そのとき考えればよいのです。「前回は、私の気持ちを第一にして離れて暮らしてもらったから、今度はあなたの気持ちを第一に考えましょう」と、ご両親との同居に踏み切ることも必要でしょう。

家は家族が幸せになるために購入するもの。夫婦どちらかの意見を一方的に押し通し、片方の気持ちを無視することは避けるべきです。

意見が真っ向からぶつかるときは話し合いで解決。そして、片方に譲ってもらったら、次は自分が譲る。
この姿勢が大切だと私は考えています。話し合いや譲り合いができない夫婦は、見ていてつらいものがあります。そのようなご夫婦でないことをお祈りいたします。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。