長谷工の住まい HASEKO URBEST

長谷工アーベストの新築マンション等住まい検索サイト

MENU

櫻井幸雄の人生相談

2018.01.09

Question

第4回 財布のひもが固い妻。私たちにはマンションなんて買えないといって聞きません。

櫻井先生、初めまして。自営業をしている33歳です。
マンションを買いたいのですが、妻からの許可が下りず相談です。

現在は賃貸に2人と猫1匹で住んでいます。
部屋や立地は気に入っていますが、以前から部屋の狭さを感じています。
自営ではありますが、収入が少しずつ増えてきたので引っ越したいです。

最近、家の近くにマンションが建つので、ちょっと調べてみたんです。そしたら、お洒落だし、ペットもOKみたいで、気になりました。妻に話すと、「自営で収入が不安定だし、貯金もないから買えないし、買う必要もないでしょ!」と。どうしたらいいんでしょう?
(33歳自営業夫)

ご質問者の年齢は33歳。昭和時代には「買い時」とされた年齢です。
「買い時」とされた理由は、当時、返済期間35年の住宅ローンには「満70歳で完済」が条件になっていたから。70歳までに35年返済が終わるようにするためには、35歳までに住宅ローンを借りる必要がありました。

35歳を過ぎると、35年ローンを組むことができず、30年ローンや25年ローンなど返済期間が短いローンを選ばざるを得ませんでした。当時、住宅ローンの返済期間は5年刻みだったため、35年返済が利用できないと影響が大きかった。だから、なんとか35歳までに買おうとしたのですね。しかし、今は70歳完済の制限はなく、1年刻みで返済期間を選べるので、「35歳までに」という意識は薄くなっています。

一方で、今は、賃貸の家賃並返済で購入できるマンションが多くなっているので、なるべく早く賃貸を脱出し、マイホームを購入したほうがよいという考え方もあります。
ところが奥様は、「収入が不安定で、貯金もないから買えない」と反対意見。その気持ちも分かります。奥様だって、買えるものなら買ってみたいと思っているはずです。でも、ローン返済できなかったときの不安が大きいのでしょう。

ここでのポイントは、「貯金」です。
収入が不安定でも、毎月貯金を続けている人であれば、住宅ローンの返済もできるだろうという安心感が生まれます。なにより、本気度を示すことができます。夫が本気でマイホームを買おうとがんばっている姿を見れば、妻だって本気になります。だったら、私も仕事をがんばる、節約もする…そのように、「夫婦が共に力を合わせて目的を達成しようとする」のは、じつはマンションを買うことよりも価値があることだと私は考えます。その時間こそが、人生で最も大切なひとコマだとも。

私は、どんなときも賃貸暮らしよりもマイホーム購入をお勧めしています。それは、住宅購入で夫婦が力を合わせ、ときにがっかりし、ときに大喜びする。その時間がどれも素敵だと考えるからです。大げさに言えば、生きている実感が味わえます。その実感を多くの人に味わってもらいたいのです。

経済的に見ると、現在のようにインフレ懸念のあるときは、貯金をするより、借金をしたほうが得とされます。貯金をしている間にマンション価格が上がってしまう可能性があるからですね。
それでも、あえて貯金の道を選んでみてはいかがでしょうか。
せめて1年くらい貯金に精を出す。収入が不安定であれば、なおさら貯金は楽ではないはずです。苦しみながら貯金して、本気であることを示す。そして、夫婦が協力し合って目的を達成できれば、そのときの喜びはプライスレスだと思いますよ。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。