櫻井幸雄の人生相談

2018.03.05

Question

家の相続を整理したい。家を残したいけど子どもは都内にいます。

櫻井幸雄先生、こんにちは。
現在の持ち家について相談させてください。地方に住む夫のもとに嫁ぎ、人生の半分以上を過ごしてきた家のことです。

私は59歳。家を残したく、子どもにも将来的に住んでほしいと思っているのですが…。
2人いる子どものうち下の妹は、家からほど近い家に嫁ぎ、兄は仕事の関係上都内に住んでいます。夫は子どもを自由にさせたいと考えているのか、まだ先のことと思っているのか、子どもたちと相続について話をしません。

2人をムリに説得するべきではないのか、もし2人とも住んでくれないということになった場合にはこの家はどうなるのか…。ぜひ教えてください。
(59歳主婦妻)

今、日本では「少子高齢化」が進んでいます。少子化も高齢化も住宅に大きな影響を与えると考えるべきでしょう。

少子化は、人口を減少させ、住宅が余る状況を生みます。といっても、東京・大阪といった大都市圏で、「どんなに安くしても買い手がつかない」という事態が起きるとは思えません。大都市の通勤圏では、ある程度安くすれば、駅から離れた場所の家でも必ず売れます。

問題は、地方の住宅です。地方で、人口が減り続ける場所では、中古一戸建ての値段は下がる一方。相続した家を売ろうとしたが、まったく買い手が現れないというケースも出ています。処分できないのに、相続税は発生します。相続税を払う代わりに家と土地を物納しようとしても受け取ってもらえない…つまり、相続した家が“お荷物”になってしまう状況が出てきています。

少子化は、現実的に「過疎地をますます過疎化させる」という現象を生み出します。地方で、交通不便な場所にある家は、将来、“お荷物”になる可能性が高いといえます。

ご質問者のマイホームは、地方にあるようです。どのような場所なのかは分かりませんが、過疎地ではないように思えます。地方でほどほどの都市、そのなかでほどほどの規模の住宅地といったところでしょうか。
中古で売りに出しても、1,000万円から2,000万円。この先大きく値上がりする可能性はない、というような住宅エリアが想像されます。値上がりはしなくても、値下がりしなければよいでしょう。言い換えれば、前述した“お荷物”にならなければ問題ありません。

地方で値下がりしない場所は、人口が減らない場所。そして、わずかでも増えている場所です。新しい道路ができたなど、開発が行われている場所であれば、人口が増える可能性があります。そのような前向きな要素のある場所であれば、そのまま住み続けて、問題はありません。

人口が増えるに伴い、店舗も増えて生活はさらに便利になりますし、中古で売りやすいからです。希望より安くなったとしても、売れるのであれば子ども達にとって“お荷物”にはなりません。いまの時代は、それで十分だと思います。
それに、生活しやすい場所であれば、将来、都心に出ている息子たちが戻ってくる可能性もあります。都心の住まいを賃貸に出し、その家賃収入を得ながらのんびりした地方生活を楽しんでくれる途があるからです。

逆に、開発など何もない、人口も減り続けて店舗も続々閉店している、というような場所に住んでいる場合は…。住み続けても不便さが増すばかりなので、安くても売れる内に手放してしまい、便利な場所のマンションやシニア向け集合住宅に移るという手段が考えられます。

思い出のある家を手放すのは勇気がいるでしょう。しかし、新しい場所で、新しい暮らしを始めるのも楽しいものです。買い替えの可能性も考えてみてはいかがでしょうか。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。