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櫻井幸雄の人生相談

2018.03.12

Question

第9回 離婚後の自分名義のマンション。手放した方がよいのでしょうか?

櫻井幸雄先生、こんにちは。
突然ですが、自分名義のマンションについて相談させてください。実は、ずっと前から離婚の話が進んでおりまして、子どもが中学を卒業するタイミングで離婚することになりました。

そこで、いろいろと考えるところがあり、マンションの始末も悩んでいることの1つです。選択肢としては、現金で財産分与をして自分で住み続ける、売却して現金化する、といった方法があるかと思いますが、どう決めたらいいのでしょう?

マンションは10年前に駅から徒歩15分程のところに購入。子どものことを考えて小・中学校の近くを購入したため、自分の勤め先には少し遠く、所有について特にこだわってはいません。ただ、売却したとして、その金額によっては住宅ローンが完済できるのかという心配もあります。
こういった状況の場合、どうするのがおすすめですか?教えてください。
(46歳会社員夫)

現在、日本では離婚の割合が増えています。夫婦の3組に1組は離婚するという説もありますが、周囲を見渡すと、そこまで離婚率は高くないように思います。別のデータでは、2割弱というのもありました。5組か6組に1組ですね。実際はそれくらいになるかもしれません。

離婚は大仕事です。特に、子どもがいる場合の離婚は大変です。大変なので、子どものために離婚に踏み切れないという人がたくさんいます。でもねえ、私は思います。夫婦の心が離れているのに、無理して一緒に暮らして、本当に子どもは喜ぶのか、と。それよりは、離婚という新しい形で、子どもを幸せにする方法を考えた方がよいでしょう。

ご質問者は、離婚に踏み切るのですね。そこで、問題となるのはマイホームとして購入したマンションです。理想をいえば、マンションを妻と子どもに渡し、ローン返済分を慰謝料として毎月妻に渡すことです。今までと同じ家に暮らすことで、子どものショックは和らぐでしょう。心の傷が浅くなります。

しかし、これはご質問者にとって経済的に大きな負担となります。ローン返済分に子どもの養育費を渡せば、自分の生活が苦しくなります。将来、再婚もできないかもしれません。さらに、給料が減るなどの事態が起きると、ローン返済ができない、養育費も払えないという事態も生じかねません。
そう考えると、マンションを売却して妻子には母子家庭への優遇がある公共の賃貸住宅に入ってもらい、養育費だけを払い続けるというのが現実的な手段となります。

売却する場合、「10年前の購入で、駅から徒歩15分」だと、中古での値上がりは望めないでしょう。値下がりしている場合、売却した金額でローンの残債を精算できない可能性があります。残債を精算できそうもない、となると金融機関が売却を承認しないと言い出すかもしれません。そうなると、「足りない分は現金で返済」することになります。
その金額を貯金や親からの借金などで補うことができれば、問題ありません。何とか売却・精算ができるように算段してみてください。その上で、新たな人生を踏み出すことをおすすめします。

離婚に際し、上記の手段を取ることに抵抗を感じる男性は少なくありません。離婚をする時、男は「家族を幸せにすることができなかった」ことに大きな責任を感じるものです。罪の意識といってもいいかもしれません。
責任を感じ、罪の意識に苛まれるので、「自分にできるだけのことはしたい」と妻子に言いだしがちです。「石にかじりついてもローンは払い続ける。養育費も払う」と約束したくなるのです。しかし、現実にはできないケースが大半。ローン返済も養育費も放り出すことが多くなります。
責任を取ることも大事ですが、できないことを約束してはいけません。約束が果たせないと、全員がさらに不幸になります。
何とか、売却・精算の途が見つかることをお祈りします。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。