櫻井幸雄の人生相談

2018.04.16

Question

マンションの住み替えを検討中。娘夫婦にも自立してほしい。

櫻井先生、こんにちは。現在55歳の公務員です。うちには25歳と28歳の娘がいます。下の娘は上京していますが、上の娘は実家住まいで、1年前に結婚した後も金銭的な都合と称して娘婿と一緒に我が家に住み続けています。

しかし今後のことを考え、私たち夫婦は設備の揃ったマンションに住み替えようと思っているため、娘夫婦にも自立してほしいと思っています。そんな状況なのですが、娘夫婦をどのように説得したらよいでしょう?よろしければご意見ください。
(55歳公務員夫)

一戸建てを売却して、夫婦2人暮らしにちょうどよいマンションに買い換えたい。それは、とてもよい考えですね。

駅から近い場所のマンション、段差のないマンションなら、足腰が弱くなっても不満が少なく、オートロックを備えているなどセキュリティ面が充実しているマンションであればシニアの2人暮らしに最適でしょう。

さて問題は、娘夫婦が転がり込んでいることですね。娘はともかく、娘婿の面倒までみたくない、と私なら思います。もちろんご質問者は、そこまでは考えていないでしょうが…。
娘夫婦は経済的事情で同居しているということは、要するにお金がないので出ていかないのでしょう。結婚して所帯を持った2人ならば、自立するのが当たり前。そんな奴らは…と、私なら拳を振り上げたくなりますが、まあ、かわいい娘です。ことは穏便に運びたいですね。

言いにくいことを切り出す時は、「前向きな話」にすることと、「その代わり…」という代案を用意することが大切です。赤の他人であれば、時に情け容赦なく斬り捨てることもできるでしょうが、血の繋がった肉親であれば、バッサリ斬ることはできません。

「前向きな話」としては、「今、一戸建てを売って、マンションに買い換えることが得」という理由づけがあります。「便利な場所のマンションに移りたい」ということは、今住んでいる一戸建ては駅から離れて生活しにくいのではないでしょうか?そのように、駅から離れた一戸建ては人気が落ちる一方。中古で売ると既に値段が下がっていますが、20年先、30年先では、「タダでも引き取り手がなくなる」かもしれません。

その点、駅に近いマンションは人気が落ちず、値段も下がりにくい。だったら、今のうち(売れるうち)に一戸建てを売ってしまい、駅に近いマンションに移り住む方が得のようだ、と娘夫婦に話します。そして「その場合、あなたたちは自分の住まいを確保しなければならない。しかし、私たちがマンションに移り住むと、あなたたちに遺すことのできる資産が増える。それにマンションなら、私たちも暮らしやすい。あなたたちには申し訳ないが、だから協力してもらえないか」と説得するわけです。

「マンションに買い替えることは、結局はあなた方にとっても得になる…」、何とも前向きな話です。

もう1つ、「その代わり…」という説得法について。「私たち2人はマンションに移りたい。その代わり、2人にこの家を安く売りたいがどうだろう」と持ちかけます。その際、相場より2割~3割安く提案する。場合によっては半額でもよいでしょう。安くするので、娘婿名義でローンを組み、代金を支払ってもらえないか、と持ちかけるわけです。

といっても、中古の一戸建てはローンを組みにくく、娘夫婦にローンを組むことができるかどうかは難しいでしょう。その場合、「娘婿の実家からお金を借りる」など、色々な手で資金調達をしてもらいます。

その結果、「購入は無理」となってもよいのです。娘夫婦に「この家を買う」ことを考えさせ、自ら諦めてもらうことに意味があります。その方が、ただ「出て行ってくれ」というより前向き、という長所もあります。なお、折衷案として、

・今の一戸建てからマンションに買い替えた方が、みんなにとって得である
・何ならキミたち、この一戸建てを買わないか?

と持ちかける。このように、2つの手を組み合わせてもよいでしょう。

一方的に追い出すわけではなく、代案を出し、「それを利用するしないはそちらの自由」として選択権を与える。これなら話を切り出しやすいのではないでしょうか。その先は、話し合い次第ですね。
2世帯間の住まいの問題は難しいですが、心を込めて話せば分かってもらえる向きもあるでしょう。がんばってください。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。