長谷工の住まい HASEKO URBEST

長谷工アーベストの新築マンション等住まい検索サイト

MENU

櫻井幸雄の人生相談

2018.07.23

Question

第19回 子どもが私立に受かったら、マンション購入は難しいかも…。

櫻井先生こんにちは。東京23区在住、小学5年生の娘と4歳の息子の母です。娘は中学受験を予定し、3年前から塾に通っています。塾では授業料のみだけでなく、教材費やテスト代、夏期講習などの講習費で思っていたよりも費用がかさみ、最近の悩みは将来のやりくり。

今は娘に部屋を与えておらずリビングで勉強させているのですが、中学に入学してからは彼女に部屋を与えたいこともあり、マンション購入を考えていました。モデルルームも見学し、住宅ローンの申請をする手前まで進んでいたのですが…。

先日、先輩ママさんに中学入学後の話を聞いていたところ、私が考えていたよりも費用がかかるそう…。ある程度予算を算出した上で娘の中学受験を決意しましたが、予想外の出費がかさむばかりで、彼女を私立中学に通わせていたらローンの支払いが追いつかないかもしれません。

私立中学進学も、憧れの新築マンション購入も、家族の夢なので手放したくないです。櫻井先生ならどう乗り切りますか?
(39歳パート妻)

マイホーム購入と教育費の増大の重なり…。これは難しい問題、そして不安が募る事態です。

私立中学校に受かるか、受からないか、で事情は大きく変わります。私立中学に受かった場合でも大丈夫なようにお金は貯めているけど、予想外の出費が出てきそう、と色々考えていらっしゃるのでしょう。

それにしても、「私立中学校に進学させる費用を貯めてきた」上に、「マイホーム購入資金を貯めてきた」ことは立派です。その堅実さは、私も見習わせていただきたいくらいです。
「何とかなるでしょ」というお気楽さで生きてきた私が回答させていただくのもおこがましいのですが、一言だけアドバイスさせていただきます。

それは「リスクを考え出したら、キリがない」ということです。
ご質問者は、十分に考え抜いて準備をしてきました。準備をして、いよいよ打ち上げの段階に入ったときに、さらなる不安が生じました。この「不安」は、しっかり準備をしてきた証拠でもあります。準備をしたらしただけ、新たな不安が生じてしまうわけですね。この不安は、用心深い性格の人ほど、次から次に出てくるようです。
ご質問者は十分に、そして慎重に準備をしてきました。だから、大丈夫。心配ありません。多少お金のやりくりで苦労することはあるでしょうが、乗り越えられます。

さてここからは、私の体験にもとづいたお話。
実は、私の娘も中学受験をしました。何とか大学への推薦がある中学校に入ったのですが、結局推薦枠を使わず、一般入試で別の大学を目指すことになりました。
中学に入ってから勉強への意欲が増し、好きな分野を学ぶことができる大学を目指したいといっています。中学に入った後は苦労しないで大学まで行かせよう、という親のもくろみは見事に外れたわけです。でも、親としてはむしろ嬉しいですね。

やる気が出たきっかけは、ちゃんとした自室を持たせたこと。それまで彼女はリビングの一画に設けた特設スペースで勉強していました。そのため、それを機に自室を持たせたいと考えたのです。それもこれも、事情はご質問者と同じです。

その結果、新たな方向性が生まれました。人は、思い通りにならない予想外の方向に行ってしまうことは結構ありがち。それもまた楽し、です。

最後に、マンション購入を諦め、賃貸暮らしを続けるときのことを考えてみましょう。その場合も、住居の費用は生じます。家計から賃貸の家賃が出ていくわけですね。子どものために1室増やして賃貸を借りると、家賃もその分上がります。そうなると、マイホームを購入したときの毎月返済金と大差ない金額になるのではないでしょうか。

だったら、色々なリスクを勘案して希望のスケジュールを無期延期する必要はありません。予定通りスケジュールの「打ち上げ」を行い、新たな人生の展開に挑んでみてはいかがでしょうか?
想定外の出来事が起きるのも、案外楽しいもの。本来、人生には予測できない出来事がつきものなのですから。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。