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櫻井幸雄の人生相談

2018.08.27

Question

定年後、家をリフォームするか、バリアフリーマンションに住み替えるか?

櫻井先生こんにちは。定年後の住まいについてお考えをお聞かせください。
いつの間にか歳を重ね、残り数年で定年退職の年齢になります。最近、定年後について思いを馳せることが増えました。

休日に家でゆっくり過ごしている中、洗濯物や掃除機を持ちながら階段の上り下りを大変そうにしている妻を見て、何だかふと今後の生活に不安を感じてしまったのです。

今ある段差をなるべく減らしたり、1階だけで用が足りるようにリフォームをしたり、ゆくゆくは、バリアフリーの介護付きのマンションに引っ越すのもいいかなと考えています。

ずっと戸建てで過ごしてきたし、妻からしたらきっとマイホームを手放したくないかな?でもマンションだと何かと安心かな?など考えるだけ考えてまだ妻には何1つ話せずにいます。

櫻井先生だったら、戸建てのリフォームとバリアフリーのシニア向け分譲マンション、どちらを選びますか?
(58歳会社員夫)

ご質問者は、58歳とのこと。私は64歳なので、お互い“いい歳”ですね。“いい年”なので、老後の住まいについても考えてしまうのでしょう。

ご賢察のとおり、老後の住まい方としては、大きく分けて2つの道があります。1つは今の住まいから離れず、リフォームをして不満なく暮らせる空間を作りあげる道。もう1つは、住み替えて不満なく暮らせる家に移る道です。

多くの方は、まずリフォームを考えます。住み慣れた家を離れたくないという気持ちがあるのでしょうね。自分と妻だけでなく、80歳以上の親世代が家にいると、「親が生きている間は住み慣れた家に置いてあげたい」という気持ちが強くなります。そう思うと、これまでの家から離れがたいです。

80歳以上の親が一緒に暮らしている場合、住み替えは難しいでしょう。しかしご質問者の場合、そのような高齢者は同居しておらず、ご質問者と奥様だけの問題のようです。その場合、どちらがよいか。

ズバリ、回答しましょう。
シニア向け分譲マンションへの住み替えをオススメします。
理由はいくつかあります。まず、古い一戸建てのリフォームなどはじめたら、いくらかかるか分かりません。キッチンと風呂場だけ、と考えても、2箇所だけで済むはずがありません。キッチンを使いやすくしたら、リビングとの釣り合いが取れない。リビングもきれいにしましょう。だったら玄関も、トイレも、寝室も…となってしまうもの。バリアフリーの例ではありませんが、私が知っている方は、「玄関ドアだけ替える」つもりでリフォーム業者を呼び、最終的に総額2,000万円の一大リフォームになってしまいました。

悪徳業者にだまされたわけではありません。非常に良心的な業者でした。良心的な業者だったので、打ち解けて話をするうちに、あれもこれもとなってしまったのです。築年数が30年、40年の一戸建てであれば、直したいところが次々に出てくるもの。ほんのちょっとだけのリフォームで済むはずがないのです。

だとしたら、いっそのこと家を丸ごと建て直した方がいい、ということになります。その方が合理的ですね。ところが、この建て直しは奥様が嫌がるはずです。なぜなら古い家を出て行くときと、新しい家に入るときで、2回引っ越しをしなければならないから。子ども達を育て上げた家の荷物を整理し、引っ越しを2回する…考えただけでもうんざりです。

引っ越しをしたことがない人は、タンスを運んで、ベッドを運んで、と大きな荷物の移動だけを考えます。大きな荷物の移動は大変だと考えるわけです。しかし、実際の引っ越しで大変なのは、小さな荷物。引き出しのなかに入っているものを出して整理し、運ぶ。この引き出し1つの整理だけで何時間もかかります。そんなこと、男性はしません。多くの場合、担当するのは女性。だから、女性は引っ越しが嫌いです。その引っ越しを2回もするなんて!

建て直すくらいなら、今住んでいる家の近くで新しめの中古一戸建てを購入し、そちらに移り住むことをおすすめします。その方が、引っ越しが一度で済むので楽です。

さらにいえば、住み替えは一戸建てから一戸建てよりも、一戸建てからマンションの方がいいでしょう。それも、都心に近い場所か、駅に近い便利な場所のマンションです。2人暮らしであれば1LDKか2LDKでよいので、一戸建てを手放したお金で購入しやすくなります。リタイア後の生活は、便利な場所が最高です。買い物と通院、外食、口座の入出金がしやすければ、日々楽に暮らせます。

加えて、都心近くや駅に近い便利なマンションは、将来、中古で売りやすく、値下がりもしにくいもの。だから夫婦揃って、もしくは残された方が1人で介護施設に入るときの資金を確保しやすくなります。

先の「2,000万円かけて大リフォームを行った」知り合いも、リフォーム後10年ほどで介護施設に移りました。その際、「あの2,000万円があれば」と悔やむことしきりでした。
リフォームしてよいのは、子世帯と2世帯同居生活を営むとき。そうでなければ、住み替えを奥様と相談してみてください。奥様も便利な場所への住み替えを喜んでくれるのではないでしょうか?

子どもが独立し、自分は定年となると住まいのあれこれを考えてしまうもの。夫婦でゆくゆく暮らしやすい形にできるとよいですね!

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。