マンション購入ガイド

2018.10.31

Question

もしもマンションで地震に遭遇したら?防災と避難の方法をご紹介

現在、マンションに住んでいる者です。まだ経験したことがないのですが、もしも今後大きな地震が起こったとき、マンションに居るときには、どのような行動をとればよいのでしょうか。また、事前にできる対策などがあれば教えてください。

Answer

マンションは、地震に対する耐久基準を厳しく定めています。倒壊する恐れこそ少ないものの、しっかりとした避難準備を進めておきましょう。地震への備えはとても大切です。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

目次

そもそもマンションって、地震にどれくらい強いの?

大陸の下にあるプレート同士がぶつかり、岩盤がずれることによって発生するといわれている地震。日本の真下にはこのプレートの数が多く、地震の数が他国と比べて多いそうです。日本が「地震大国」とも呼ばれるゆえんでもあります。

地震に遭遇することが多い日本だからこそ、人々が安全に暮らせるよう、日本ではマンションを含めたすべての建物に厳格な建築基準が設けられているのをご存知でしたか?

マンションの強度には基準がある
小規模な地震を含めると、相当数の地震が発生している日本では、マンションの建物の強度に厳格な建築基準が設けられています。地震に対する建物構造について耳にすることが多い、「耐震(構造)」や「免震(構造)」、さらには「制震(構造)」という言葉。

具体的な違いを理解できていない方も、多いのではないでしょうか。ここではあらためて、それぞれの語句の意味をご紹介していきます。

[ 耐震構造 ]
文字通り、地震に耐える構造に対して、耐震構造という言葉が使われます。耐震構造に対する建築基準は、免震や制震よりも早く設けられました。耐震基準では定義上、「建物が一定規模の地震の揺れに、一定時間以上耐えることで、建物内にいる人が避難する時間を確保して人名を守る」ことが求められています。

日本では、これまでに幾度となく、大きな地震が発生した過去があります。記憶に残るところでは、熊本地震や東日本大震災、阪神淡路大震災、関東大震災などが挙げられますね。耐震に関する建築基準は、過去大きな地震が起きるたびに見直されてきました。

最も広く知られている耐震基準では、1981年6月1日より前の(正確にはこの日よりも前に建築確認を取得した建物に対する)基準を「旧耐震基準」と呼び、それ以降に適用された建築基準を「新耐震基準」と呼んでいます。

現在のマンションで導入されている新耐震基準では、震度5強であれば建物の機能を保持でき、それ以上の震度(6強~7)であっても、倒壊はせず人命を守ることができることが基準とされています。

[ 免震構造 ]
地震の揺れを免れるために設計された構造を、免震構造と呼びます。免震構造では、地盤(建物の基礎となる土地)と建物を物理的に切り離し、その間に免震装置と呼ばれるものを使うのが一般的です。

免震装置は、建物と地面に接する基礎部分の間にアイソレーターとダンパーと呼ばれる装置を設置することで、地盤と建物を切り離し、地震の揺れを直接建物に伝えないようにしてくれます。アイソレーターは建物を支え、地震発生時には建物がゆっくりと移動させる機能を持ち、ダンパーはアイソレーターでは揺れを抑えられないので、その揺れを抑える役割があります。

免震構造は、耐震構造と比べて大きな地震に対する効果が大きいかわりに、導入するには、高額な費用を必要とすることが特徴。そのため、費用対効果の面から大規模なマンションや高級マンションに免震構造が導入されることが多いようです。

[ 制震構造 ]
建物のなかに、地震による揺れを抑制する装置を設置した構造を、制震構造と呼びます。制震構造は、錘やダンパーと呼ばれる装置を建物のなかに設置することで、地震による揺れを吸収し、抑制する効果があります。

上層階ほど揺れが大きくなる高層ビルなどに導入されているのが一般的ですが、近年ではさまざまな装置が開発され、一般的なマンションや戸建てにも導入されています。ただし免震構造と同様、耐震よりも費用がかさんでしまうのが特徴。

マンションの耐久性については、同サイトの、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ一緒にチェックしてみてください。

マンションの防災、耐震・免震・制震の違いって?

マンションの防災、耐震・免震・制震の違いって?

マンション内には防災グッズ・備蓄があるところも
マンションによっては共用備品として地震に備えた防災グッズや備蓄を用意しているところもあります。用意される備品の代表的なものは以下のとおり。

・ヘルメット・ヘッドライト
・災害用緊急箱
・担架
・ポータブルガス発電機
・ガスボンベ
・ワンセグTV・手巻きラジオ
・簡易トイレ
・数日分の飲用水
など

また、不動産会社によっては、マンション契約時に防災セットの導入を呼び掛けているところも。飲み水やトイレ、加熱用具を確保するための防災設備を提案することで、万が一の場合に備えることができるとされています。長谷工コーポレーションでは、防災のための3点セットをご用意しています。詳細は以下のサイトを参考にしてみてください。
https://www.haseko.co.jp/tri/archives/infrastructure/disaster_prevention.html
(長谷工の非常用ライフライン 防災3点セット)

もしもマンションで地震に遭遇したら?

マンションにいるとき、もしも地震に遭遇してしまったら、どのような行動をとればよいのでしょうか。マンションに住んでいる方やマンションの購入を検討している方は、事前に知っておきたい適切な行動例や注意点をご紹介していきます。

地震が発生したときの適切な行動は?
地震が発生したとき、まずするべきことは、固定された丈夫なものにつかまっていること。自分が転倒するおそれもあるので、体を低くし、なるべく丸まるようにしましょう。また、落下物などの危険の少ないトイレやユニットバスに、扉を開けた状態で一時的に避難することも有効です。

当然ながら、不安定な戸棚や、割れる可能性の窓には危険なので近づかないようにしましょう。落下物にも備えられるよう、クッションなどの柔らかいものが近くにあれば、それを使って体を守るというのも対策の一つです。

低層のマンションや低層階の場合は、ベランダの窓などを開けて万一の避難路を確保しておくということも地震発生時の行動の1つのポイントです。特に高層階では、横揺れが激しくなり、室内のものが散乱するケースもあります。地震のケガの多くは、倒れた家具やガラスによるものといわれています。なるべくすぐに室外へ脱出することも必要です。地震発生後は揺れを感じたら、なるべく早く廊下への避難を心がけましょう。

避難するときの適切な行動は?
地震の揺れが一時的にでも落ち着いた際の避難時には、慌てて外にでようとせず、落ち着いて避難するようにしましょう。地震の被害の多くは、地震発生後の火災です。そのため、ガスの元栓を閉めるといった火の処理や、電気のブレーカーを落とすことを忘れずに。また、そうした行動の前に、玄関の扉やベランダの窓を開け、先に避難路を確保しておくことも重要です。

外にでる際には、靴に履き替えるまでの間、床に散乱したガラスや陶器の割れ物などで怪我をしないよう、スリッパを履いて行動するとようにしましょう。

玄関のドアが開かないなどで玄関側の避難経路が確保できない場合は、バルコニー側から避難すること。下階に避難するための緊急はしごがバルコニーにある部屋とない部屋がありますが、緊急はしごのない場合は、バルコニーにある隔て板を突き破り、隣の部屋から避難することや緊急はしごのある部屋のバルコニーから下階へ避難するという方法もあります。隔て板を突き破るときは素足で蹴るとケガをする恐れもあるので、バルコニー側から避難する場合も靴を履いておきましょう。

共用廊下(外)にでたあと、高層階、低層階を問わずエレベーターを使用することは禁物です。停電や機器の故障で使用できない、あるいは余震などで使用中に動かなくなる可能性が高いので、万が一、そのときエレベーターが動いていたとしても、外へ非難するときには、必ず階段を使うようにしましょう。

地震対策をしておこう!事前にできることって?

いつどこで大きな地震が起きるのかは誰にもわかりませんが、日本国内はどこも地震がいつ発生してもおかしくないといわれていますね。それでは、事前にどのような準備をしておけばいいのでしょうか。

マンションでは上述のとおり、共用で防災グッズや備蓄品が用意されていることがありますが、用意のないところもあります。そこで、自分で用意できる準備もいろいろとありますので、いくつか紹介していきます。

備蓄品を用意しておく
自分自身でも、しっかりと備蓄品の用意をしておきましょう。備蓄品があれば、いざというときに役に立つはず。以下に代表的なものをご紹介していきます。

・水
・携帯トイレ
・食料
・医療品
・懐中電灯・乾電池
・ラジオ
・携帯用充電気(手巻き発電式)
・ライター
・タオル
・ビニール袋
など

家庭によって必要な量は違うので、持ち運び可能な適正量を決めて、まとめて準備しておくことが大切です。また、スムーズに避難できるよう、避難袋や懐中電灯の位置を決めておくことや印鑑や保険証などの大切なものは、家族だけが把握している場所にまとめておきましょう。

避難場所を確認しておく
家族全員が同じ場所で地震に遭遇するとは限りません。大きな地震が起きて避難することになった場合、事前に家族が集合する避難場所を決めて、まとまって行動できるようにすること、もしくは地域が指定している避難場所に集まるなど、避難の仕方を確認しておきましょう。

避難場所は、それぞれの市町村区のホームページで確認することができます。地震に遭遇したあとではなく、ぜひ、地震が起きる前に確認をしておくことを、おすすめします。

家族でのルール決めも大切
避難場所を決めること以外にも、家族で独自に、地震に遭遇した際のルールを決めておくことが大切です。家族のルールを考えるうえで、連絡方法を決めることは、最も重要だといえます。

たとえば、安否確認は必ず災害伝言板を利用するとしても、どの災害伝言板を利用するかも決めておかないと連絡がつきません。また、携帯などが利用できず、伝言板が利用できない場合に備え、特定の親戚などに連絡するようにするなどのルールも決めておくとよいでしょう。特に、災害発生時には携帯やスマートホンが使えない場合も想定しておくことがポイントです。

家族で決めたことをいざというときに忘れないよう、メモを常に持っておく、家の冷蔵庫などわかりやすい場所に貼っていつでも確認できるようにしておくことも効果的ですね。

保険への加入を確認しよう
マンションの地震保険への加入状況も確認しておきましょう。いざというとき役に立つのが保険です。そのメリットは大きいので、まだ加入していない方は、地震の対策を考えるときには、一緒に検討してみてください。

地震発生時に同時に発生しやすい災害の1つに火災がありますが、地震を原因とする火災で被害にあっても、通常の火災保険ではその損害をほとんどカバーされていません。地震時の火災に備えるには、地震保険への加入が必須になります。

なお、実は地震保険は、火災保険のオプションとしてしか加入することができませんので、地震保険への加入を検討する場合には先に火災保険への加入が必要になります。地震保険は、生活再建を目的としているため、保険の支払いが早いと言われていますので、その点も1つのメリットとなります。

専用部分の火災保険や地震保険は、自分で選択して加入することができますが、共用部分の保険の加入に関しては、マンションの管理組合で決めることなので、保険の加入状況を知りたいときは管理組合に確認してみましょう。

地震保険は、地震による被害だけではなく地震による津波や地震に伴う噴火による火災、損害、流失に対しても損害を補償してくれます。地震対策の際は、ぜひ地震保険への加入も検討してみましょう。

地震でマンションにヒビが入ったら?

地震発生後、避難して、戻ってみるとマンションの外壁にヒビが入っていた。この補償は、いったい住民とマンションの管理側どちらの保証になるのでしょうか。

マンションの所有や管理責任の構造は少し複雑で、まず自分が住む部屋など自分の所有、使用管理する部分を指す「専有部分」と、それからエントランスなど、マンションが住む人全員が利用し、共有している「共用部分」の大きく2つに分けられています。

なお、バルコニーやポーチ、専用庭の他、窓や玄関扉の外側などは、専用で使用していますが厳密には共用部分になります。たとえば、共用部分にあたるマンションの外壁にヒビが入った場合、共有部分にあたるので、マンションの管理組合が加入している保険で対応することになります。

まずは管理会社や管理組合に確認をとろう
被害を受けた部分が、専有部分のものか共用部分のものか分からない場合でも、まずは管理会社や管理組合に連絡をとってみましょう。被害箇所を集約(どこまで被害があるか)し、今後の対応などについて、管理組合で話し合いが行われることになります。

共有部分に損害があった場合、区分所有者が加入している管理組合が対応し、その補償内容を保険会社等と協議して決めることになります。保険で適用されない部分の補修や補償額が補修に必要な金額に満たない場合は、積み立てた修繕積立金などで補填していくようになります。もしも損害が共用部分に該当しない専有部分だった場合は、その補償は当然、自己負担となるので注意しましょう。

参考までに、代表的な専有部分と共用部分をご紹介します。それぞれ保険がどこまで適用されるかの目安にもなるので、チェックしてみてください。

[ マンションの専有部分 ]
・自分の居住している部屋の内側(外と接する壁は共用部分)
※配管の一部など細かく分かれます。
[ マンションの共用部分 ]
・バルコニー
・玄関扉
・窓ガラスと窓枠
・インターホン
・専用庭
・ポーチ
・エレベーター
・セキュリティ設備
・駐車場・駐輪場
・共用廊下
・階段
・エントランス
・ゴミ置き場など

地震に対する構造の違いや、避難方法やその準備、保険の内容など、マンションならではの災害に対する特徴や対処法をご紹介してきました。マンションへの購入をこれから検討している人は、あらためて地震への対策を、一緒に確認してみてください。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。