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櫻井幸雄の人生相談

2018.10.09

Question

第24回 ずっと住みたいと思うエリアが決まらない。どうやって選べばいいの?

櫻井先生、はじめまして! 東京23区在住、夫婦2人暮らしの32歳男性です。

結婚して3年目、現在賃貸マンションに住んでいて「そのうち家を買いたいね」なんて妻と話をしているのですが、いざ家を買うとなると、ずっと住み続けたいと思える場所を決められず悩んでいます。今住んでいる賃貸も、特にこだわりがあったわけでなく、なんとなくお互いの勤務地の中間点をとって選びました。

お互い勤務地は近いので、通勤1時間圏内くらいがいいかなという話は出ているものの、今まで住んだこともない場所で、いきなり家を買って住み始めて後悔しないか悩んでいます…。

せっかく家を買うのであれば、お互いが好きだと思える街に住みたいと考えているのですが、2人ともお気に入りの街があるわけでもなく…。なんとなく積極的になれずにいます。夫婦で住むエリアを選ぶとき、どんな風に選んでいけば後悔なく決められるのでしょうか?
(32歳会社員男性)

エリア選びの基本は、まず「今住んでいる場所の近く」ですね。「住めば都」と言われるとおり、一度住み着くとその場所が気に入ってしまうもの。愛着がわくし、知り合いや馴染みの店も増えます。

そうすると、今住んでいる場所を離れがたくなってしまう。だから、「今住んでいる場所の近く」が第一の候補地となります。ただし、今住んでいる場所に住み続けたくない、もしくは住み続けることがむずかしい、という場合は、別の場所を探さなければなりません。

または住んでいる街は気に入っているけれど、電車が混んで耐えられないとか、住んでいる街は分譲住宅の値段が高すぎて、とても手が出ない、というケースでも別の場所を探す必要がありますね。

別の場所を探すにあたり、候補地を拡げて場所を探すときも、多くの人は、やはり今住んでいる場所の関連地を好みます。たとえば神奈川県からいきなり千葉県に行くのではなく、同じ神奈川県内や神奈川に近い東京都内を探します。この場合も「なるべく、今住んでいる場所から離れたくない」という気持ちがあるのでしょう。

住んでいる場所から離れたくないという心理の分かりやすい例では、マイホームを購入して賃貸アパートから引っ越した1日目の夜、小さな子どもが「お家に帰りたい」と泣き出すことがあります。真新しいマイホームに移っても、子どもの気持ちは、慣れ親しんだ古いアパートを求めてしまうのですね。

同様の気持ちは大人にもあります。「マイホームを買わなくても、今の家でいいじゃない」「無理してローンを払わなくても、今の賃貸暮らしで十分だよ」そう言う人たちの心のなかには、「今の家から離れたくない」という気持ちがあるのかもしれません。

ご質問者ご夫婦は、マイホーム購入に積極的になれないようです。ということは、「今の家を離れたくない」という気持ちが強いのかもしれません。マイホームを買ったら、今の住まい、今の生活にさよならしなければならない。それは、なんか嫌だ。そう思っていたら、新たなマイホーム探しに積極的になれないのは当然でしょう。でもね、と生まれてから12回引っ越しをしている私は思います。引っ越してしまえば、引っ越した先が「住めば都」となるのです。

私が10代の頃に住んでいた場所は「こんなステキなところは他にない」と思っていました。でも、引っ越したら、「こっちのほうがよい」となりました。その「あっさり」さに自分でも驚いたほどです。次に引っ越したときも、「ここのほうが、よい」で、その次も……。

そのように、常に気持ちが前を向いたのは、いつも「好きな要素がある場所」にこだわったからだと思います。私の場合、好きな場所は、自然が身近な場所。夏はセミの声が聞こえ、秋の夜は虫の音が絶えない場所です。

自然を好むのは、私の本能です。この本能は、死ぬまで変わらないでしょう。だから、本能のまま、自分の気持ちが動く場所に移る。その際、前の住まいより通勤に便利とか、買い物がしやすい、といった利便性の向上を加味したので、場所選びで後悔することはなかったのです。

ご質問者の場合、まず、「今住んでいる場所を離れる」勇気を持ってください。そして、2人にとっての便利さが向上する場所で、2人の気持ちが動く要素のある場所(公園が近い、川がある、飲み屋さんが多いなど)を探してみてください。

その際、分譲価格の相場も勘案して……など考えなければならないことはたくさんあります。でも、車を買うときも、服を買うときも、いろいろ考えるもの。それは決して面倒なことではなく、楽しみでもあるのです。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。