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櫻井幸雄の人生相談

2018.10.22

Question

第25回 実家の近くに住んでほしいと、私と妻の両方の親から言われていて困ってます。

櫻井先生、こんにちは。最近、私の両親と妻の両親の両方から、実家の近くに住んでほしいと言われており、とても困っています。私の実家は埼玉県で、妻の実家は千葉県にあります。

現在は、千葉寄りの東京都内に住んでいて、2人目を妊娠中の妻と、保育園に通っている4歳の息子の3人で賃貸マンションに暮らしています。

私の両親からは、長男であることと今後の介護など考えて近くに住んでほしいと相談がありました。妻の両親からは、距離が近くなればもっと育児の手伝いもできるという事で、2人目が産まれるタイミングで引っ越してきてほしいと相談がありました。妻は2人目の育児の不安もあり、妻の実家の近くに引っ越したいと言っております。

私としては、両親の介護などを考えると、自分の実家の近くに住んであげたい気持ちがあります。 また、妻の両親が家に頻繁に来るようになると考えると、正直あまり気が進みません…。

折り合いを上手くつけられればよいのですが…櫻井先生、何かよい方法があれば教えてください!
(33歳 会社員男性)

どちらの実家近くで暮らすべきか。その悩みが生じた場合、普通は、妻の実家に近いほうが上手くゆくとされています。家に居る時間が長いのは、多くの場合、夫より妻。その妻にとって、ストレスなく暮らせるのは自分の実家に近いほう、というわけですね。

ただし、ご質問者のように、妻と夫の実家それぞれから「近くに住んで」と言われている場合、単純に「妻の実家に近いほうがよい」とは言えません。「近くに!」と言われているのに遠くに住んでしまったら、夫の実家が気を悪くするでしょう。

妻と夫それぞれが「自分の親の近くに住みたい」と思っているのですから、歩み寄ることは簡単ではありません。この場合、解決法は1つです。お互いの実家の真ん中に暮らすことです。ここでいう「真ん中」は、いろいろな考え方ができます。地図上の真ん中という手もありますが、交通上の真ん中でもいいと思います。

地図上の真ん中であれば、千葉の実家、埼玉の実家、それぞれに等距離の東京都内、たとえば荒川区や足立区あたりを狙う。その場合、距離は同じくらいでも、どちらかの実家には電車で行きにくいとか、道路が混むといった問題が発生しがちです。

一方、交通の真ん中であれば、お互いの実家へ電車や車で行きやすい中間点を選ぶことになります。といっても、千葉と埼玉の両方に行きやすい場所は意外と少なく、JR武蔵野線沿線か東武野田線沿線、そして東京外環道の近くということになります。

いずれも、土地の値段が比較的手ごろな場所なので、買うにしろ、借りるにしろ、家計への負担は都内に住むより少ないはず。ただ、都心への通勤を考えると、今住んでいる23区内よりも通勤時間の負担は増えます。

そこで、JR武蔵野線沿線か東武野田線沿線、東京外環道の近くで通勤もしやすい場所という絞り込みを行うと、次に住む場所を定めやすいでしょう。その際、より妻の実家に近いほうが暮らしやすいと思います。なにしろ、これから2人の子育てをするタイミングで、妻の実家は「育児を助ける」といってくれているのですから。

これで、妻の実家から遠い場所に住もうとすると、奥さんから「何考えているの」と言われかねません。「2人の育児がどれだけ大変か、分かっているの」「だったら、アナタも家事を手伝いなさいよ」「休みの日、掃除、洗濯と買い物、ご飯つくるのはアナタの役目ね」など、だいたい、言われそうなことは想像がつきます。

それに、子育てに関して、妻と意見が合うのは妻の親。親から引き継いだ子育てをする可能性が高いので、それは当然でしょう。ですから、子育て期間は、妻の実家の近くに住むことが、現実的だと思います。

妻の親が頻繁に家に来るのが嫌なのであれば、「休日は、子どもと接する時間を大事にしたいので、家族だけで過ごしたい」と妻に話して、妻の両親が来る頻度を少し考慮してもらえばいいでしょう。

その上で、「ときどきは、自分の親にも子どもを見せて上げたい」と埼玉の実家に出かけてゆけばよいのです。お互いの実家とうまくやってゆくためには、中間といいつつも妻の実家に近い場所に住む。そして、その理由は「ここのほうが、会社に通勤しやすいから」としておくと角が立ちません。

つまり、双方の実家の中間点で、妻の実家がある千葉寄り。そして通勤しやすい場所が狙い目の場所ということになります。具体的にはつくばエクスプレスとJR武蔵野線が利用できる南流山駅周辺などが考えられます。流山市は子育て支援が充実しているので、その点も好ましいですね。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。