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櫻井幸雄の人生相談

2018.12.17

Question

第29回 庭に憧れがあります。マンションでも一軒家のように庭を楽しむことはできますか?

櫻井先生こんにちは!東京都内在住の会社員男性です。

現在妻と2人で賃貸マンションに住んでいるのですが、最近家の購入を考えております。

妻は幼少時からずっとマンションに住んでいたこともあり、家を買うとしたらマンションがよいと言っております。自分は一軒家で育ったのですが、賃貸マンションに住んでみて、セキュリティ面の充実やさまざまな設備があることには魅力を感じており、基本的には妻の要望であるマンションに住むことを考えております。

ただ、自分は自然豊かな環境で育ったせいか、都内で暮らしていくにあたり、もっと緑を身近に感じたいと思っています...そのため、家を買う時には庭付きの物件でガーデニングなどを楽しむことが密かな夢でした...

妻を尊重して、私の夢はあきらめるほうが夫婦円満のためにもいいのでしょうか?櫻井先生、教えてください。
(32歳 会社員男性)

結論から申し上げましょう。マンションでも、庭を楽しむことはできます。が、制限があります。まず、土の庭を楽しむなら、1階住戸を買うしかありません。最下層住戸が半地下や地下住戸になっている場合、土の庭ではなく、コンクリートを用いたテラス状になるのが普通です。

2階以上の住戸は、基本的にバルコニーとなります。これも、土の庭ではありません。2階以上の住戸にはルーフバルコニーという広いアウトドア空間付きの住戸もあります。その場合、開放感は大きくなりますが、思い切り植物を育てる、というわけにはいきません。

せいぜい鉢やプランターで花を育てる程度です。そして、ルーフバルコニーは建物の北側や西側に設置されることが比較的に多く、その場合は植物を育てる環境としては厳しい場合もあります。

土のある庭での生活を楽しみたいなら、1階住戸が最善の選択となるわけです。ところが、1階住戸の庭にも制限があります。

大きく育つ木を植えてはいけない、とか、実のなる木を植えてはいけない、といった制限です。大きく育つ木は、上層階に住む人に迷惑を及ぼす可能性があります。実のなる木は鳥を集め、糞公害が問題なることがあります。

そのように、迷惑を及ぼす可能性がある木は植えることができないわけです。また、1階住戸でも住戸の向きにより、日照時間が短いケースがあります。その場合、植物が元気に育たない、ということが起きることもあり得ます。

近年、土のある1階住戸でも、コンクリートを用いたテラス面積を増やす傾向がでています。理由は、土の庭が広いと、雑草や虫が増えてしまうから。雑草も虫も苦手という人が増えている現在、コンクリートで覆われたテラスのほうが快適と考えられるようになったわけです。

ご質問者の奥様はどうでしょうか。もし、虫が苦手であれば、1階住戸よりも2階以上のほが幸せ、と思っているかもしれません。ご質問を読む限り、奥様は庭への執着が薄いように感じられます。そうであれば、庭付きの1階住戸にこだわらず、2階以上も視野に入れて、マンション探しをしてはいかがでしょうか。

庭付きの1階住戸よりも、バルコニーが付いた2階住戸のほうが安い、というケースは多いものです。そして、ガーデンライフを楽しみたいという願いは、別の手段で解決することができます。たとえば、市民農園などを借りて野菜作りを楽しむといった方法です。大規模マンションで、マンション敷地内に貸し農園を備えている物件も中にはあります。

その場合、決して広いスペースではありませんが、思い切り土に触れることができますし、収穫の喜びもあります。マンション1階の小さな庭で花を育てるより、ずっと楽しく、やりがいが大きいのではないでしょうか。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。