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櫻井幸雄の人生相談

2019.04.16

Question

第37回 実物を見る前に、マンションを購入しても大丈夫でしょうか

櫻井先生はじめまして。昨年結婚し、マンションの購入を検討しております。

先日、夫とマンションのモデルルーム見学に行ってきました。立地や間取り、価格など私たちが希望していた条件にすごく合っていて、購入したいと考えております。

ただ、建物が完成するのはまだ先で、実物を見ずに契約してしまっても大丈夫でしょうか?
できれば、実物を見てから購入したかったのですが、完成前に売り切れてしまったら後悔していまいそうなので、迷っています...

櫻井先生、おしえてください。
(33歳 女性)

日本では、建物が完成するはるか前、建設工事が始まったばかりの時期に販売を開始する方法が定着しています。「ここにマンションができます」と言われても、現地を見ると、基礎部分ができているだけ……そうなると、「この状態で決めていいのかしら」と不安になるのは当然でしょう。

その点、欧米では建物が完成してから販売を開始します。が、正確にいうと、すべて「完成」してから販売するわけではありません。欧米のマンション(コンドミニアムと呼ばれたりします)は、内装は手つかずで、外枠だけできたところで販売する「スケルトン売り」となります。

外枠だけできた建物を購入し、内部(間仕切りや内装、設備の設置)は、購入者がそれぞれ施工業者に工事を依頼します。これは、かなり面倒です。だから、欧米ではすべてできあがっている中古物件のほうが好まれ、実際に取引されるのも、中古物件が中心です。

そう考えると、新築で「すべて完成した状態で引き渡される」日本の方式は、わるいものではありません。新築マンションで、ある程度購入者の希望を採り入れた住まいを実現するためには、建物の工事が始まった時点から販売を開始しなければならないわけです。

この日本方式では、「完成した建物を見る前に購入を決めなければならない」ことが短所となります。そこで、日本では建物外観完成予想図や建物模型、モデルルームの見せ方が進化。最近はVR技術を活用して、建物と室内を目の当たりにできるようにしているマンション販売センターもあります。

それらの工夫で、建物が完成したときに「実物と違う」という問題が起きないようにしています。結果、建物が完成したときに、「想像していたのと違う」という不満は出にくくなっています。

たとえば、マンション内に天井が低い住戸と高い住戸がある場合、モデルルームにするのは天井が低い住戸。これで、「想像していたのと違う」という事態が生じないようにしているのです。

そして、実際の建物ができあがり、その実物を目の当たりにしたとき、多くの人は息をのみます。それは、実際の建物が巨大で、模型や完成予想図にはない迫力があるから。マンションは、実際にできあがると、模型や完成予想図よりも立派に見えるものです。

以上の工夫や状況があるため、日本では建物が完成する前に販売を行うことが長く続けられてきたと考えられます。

それでも、建設地に音の問題がないか、異臭が漂ってこないか、など模型や完成予想図ではわからないこともあります。そこで、模型や完成予想図だけでなく、建設地にも出向いて環境を調べるようにしてください。

そして、販売センターでは、疑問に思うこと、不安に感じることは、何でも聞いてください。説明してもらい、納得してから購入を決める。それを行えば、建物が完成する前に購入を決めて、後悔することはありません。

情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。