マンション購入ガイド

2018.09.26

Question

その物件、事故物件かも?「告知事項あり」に要注意!

不動産のポータルサイトで賃貸住宅の情報を見ていると、相場と比べてかなり賃料の安い物件を見つけました。もしかしてこれ、事故物件でしょうか?確信がないので、事故物件を見分け方があれば教えてください。

Answer

過去に人が亡くなる、もしくは火災などで物件自体に欠陥(専門的には「瑕疵」と呼びます。)があるなどの理由で事故物件と呼ばれる物件があります。
見分け方は、物件の広告に「告知事項あり」という記載があるかどうか。その他、様々な理由で事故物件と呼ばれるケースもあります。不動産業者には瑕疵のある物件について告知義務があるので、気になったときは詳しくヒアリングをしましょう。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

目次

事故物件とは?どうやって見分けるの?

自分が住もうと検討しているところが、相場に比べて妙に賃料が安すぎる?そんなとき、事故物件という単語が一度は頭をよぎる方もいるのではないでしょうか。中古の一戸建てやマンションを購入するときでも、売買価格があまりに安いときには、過去にそこで事件・事故が起こっていたなどの経緯があるかもしれないと、心配になりますよね。

そもそも事故物件とはどういうものを指すのか?具体的な定義はあるのか?それらは、どうやって見分けることができるのか?まずは基本的な疑問から、わかりやすくご紹介していきます。

心理的な負担がかかるとされる、事故物件
事故物件という言葉に明確な定義はありませんが、不動産取引のうえで多く使われている意味として、たとえば建物内での人の死にまつわる事件や事故が過去に起こった物件のことを、「事故物件」と指すことが多いです。また、広い意味では、たとえば大雨などで床下が腐敗している、地震や火災による損傷があるなど、物件自体に問題があるまま解消されていないものを、事故物件と呼ぶこともあります。

これらは次の入居者に心理的な負荷がかかるとされ、「心理的瑕疵物件」と呼ばれることもあります。聞き慣れない「瑕疵(かし)」という言葉。意味としては「欠点や欠陥」の事を指します。「心理的瑕疵物件」とは、その物件に対して「心理的な面で欠陥や欠点」があるということになります。

心理的瑕疵物件(事故物件)は、相場に比べて賃料や売買価格が安いのが特徴。相場に比べて2~3割、もしくは半額以上の安さで設定されていることもあります。賃貸に限らず、中古の一戸建てやマンションでも、同じように値下がりしているケースがあります。

賃料や物件の売買価格にはさまざまな要因が加味されますが、もしも周辺の物件と比べて自分が検討している物件の賃料や売買価格が安いときは、この心理的瑕疵物件である可能性も、ゼロではありませんので、気になったら不動産業者に確認してみるとよいでしょう。

「告知事項あり」に注意しよう
賃貸、売買いずれの場合も物件の広告に「告知事項あり」と記載されるのが、事故物件の特徴です。従って、この「告知事項あり」という文言は、事故物件の見分けるポイントの1つといえるでしょう。

ただし、ほとんどの広告には「告知事項あり」と記載されるだけで、具体的にその物件で過去に何があったかを記しているものは少ないというのが実情です。広告を見ているだけでは、その物件で何があったかを知ることはできないのです。

物件を取り扱う不動産業者は、実際に購入もしくは借りようとしている人に対して、物件の説明をする義務があります。ただし、事故物件の場合、どこまで説明しなければならないかといった説明内容には明確な規定がなく、不動産業者によっては細かく説明しようとしないことも。少しでも疑わしい部分があれば、しっかりとヒアリングを行いましょう。

事故物件の告知義務って?

繰り返しになりますが、売買や賃貸物件について、心理的な瑕疵があったり、物件自体に欠陥があるなどの場合は、不動産業者は借主(買主)に対して告知・説明をするという義務があります。これを怠ると「不告知」、あるいは「告知義務違反」として宅地建物取引業法に違反し、説明を怠った不動産業者は責任を問われることに。

住みたいと検討していた物件が万が一事故物件でも、事前にその事実を説明してもらえるなら、事故物件を避けることができるので、間違って住むようなこともないので安心。そう考えがちですが、油断は禁物。実はこの告知義務には、意外な落とし穴があるようです。

事故物件の告知には、意外な落とし穴が
事前に事故物件であることの告知がないまま住むなどして被害に遭った場合、不動産業者の説明義務違反となり、慰謝料などの損害賠償や契約の解除、転居費用の負担などを求めることができます。

ただし、この告知義務、実はどこ(いつ)まで告知義務が及ぶのか、明確な決まりがありません。少し前までは、事故が起きた次の入居者に対しての義務はあっても、その次の入居者には告げる義務がないと言われていました。

しかし、昨今は宅建協会などに確認すると、近隣住民の記憶が薄れるまで説明が必要とされています。判例においては、売買の方が厳しく20年以上前の自殺事件について説明義務を求め、その説明義務違反について慰謝料の支払いを命じたケースがあり、賃貸物件では、さまざまな判例があります。

判例でも事故や事件の程度によって、いつまで告知すべきかの判断が異なっています。その判例の中の1つに、自分が住む間に誰か1人でも住んでいた過去があれば、説明義務違反としない判例があったため、それが1つの事例のようになっていたところがあります。

実際には、借主(売主)とのトラブルを避けるため、最近の不動産業者は、事前に心理的瑕疵物件の説明をしてくれるところがほとんどです。ただしコンプライアンスに疎い一部の不動産業者などでは、以前のように一度入居者が入り、その後は細かい説明をしてもらえないこともあるので、注意は必要かもしれません。

以前の悪質なところは、事故・事件のあった物件に自分の会社の従業員を一時的に住まわせて、通常の物件として流通させたこともありました。「事故物件ロンダリング」とも呼ばれる行為で、入居者を1人、間にはさむことで、告知義務を逃れられると思って及んだ手法です。ただし、最近はネット上に事故物件がすぐに掲載されるサイトもあり、気になった入居者が調べれば、すぐにでもわかるケースが増えてきました。そのため、きちんと告知することがほとんどです。

不動産業者からすると、賃貸なら賃料の1か月分、売買でも物件価格の3%程度の仲介手数料を稼ぐために告知義務違反を犯し、後日その事実が判明した場合、手数料の何倍もの慰謝料等を支払うことがリスクだと感じることもあって、事前に告知することが一般的になっています。

それでも事故物件を見分けるには、やはり相場に比べて賃料や価格の安い物件に対しては警戒することと、家賃契約や売買契約を結ぶ前に、担当者にしっかりとヒアリングをすることは欠かせません。

事故物件とどう向き合う?進んで住む人とそうでない人の違い

自分の住みたいと思った物件が、もしも事故物件だったら?そんなときの対処方法や、事故物件のメリット、注意点などをご紹介していきます。

気持ちとのバランスで、向き合い方を決めよう
事故物件に住んだからといって、必ず何か問題が起きる、というわけではありません。むしろ駅からも近く利便性が高いうえに、相場よりも賃料や売買価格が安く、経済的には助かるという理由で、進んで事故物件を探し、入居する人もいます。

また、マスコミに取り上げられたような事件や住んでいた人が凄惨な亡くなり方をした物件は避けても、たとえば入居者が自然死をした、もしくは建物の火災など物理的な原因の瑕疵などの場合は、それほどの心理的な負担を感じず、物件への入居を決める、という人も。

とはいっても、自分が住もうとしている家で、過去に人が亡くなっているというのはやはり恐い、不安になるなどの精神的な負担を感じることもありますよね。

事故物件へ入居するか否かの判断材料の一つとして、自分の性格で判断してみるとよいかもしれません。比較的神経質な人や臆病だと思う人、迷信などを信じやすい人などは避けた方がよいでしょう。

住まいというのは、生活の基盤です。賃料の安さはもちろん、中古の一戸建てやマンションを購入する場合に、購入価格を安く抑えたいという方も多いかもしれませんが、事故物件はやはり気になる瑕疵がある物件です。事故物件を住まいとして選択する場合には、自分の性格も考慮して慎重に判断するようにしましょう。

特に事故物件に対して、少しでも心理的な負担があるという人は中古物件を避け、購入する場合はもちろん賃貸住宅でも、新築物件を探してみるのが確実な方法といえます。

事故物件というのは、過去に人が亡くなっているという心理的瑕疵物件を指すだけではなく、物件自体に欠陥があるものを指すこともありますから、特に住宅を購入するのであれば、そういったリスクは、できれば避けたいものですよね。

新築一戸建てや新築マンションであれば、最初に住むことになるので、事故物件である心配はもちろんありません。費用との相談も必要ですが、確実に事故物件を避けたい場合は、新築物件を1つの選択肢とすることをおすすめします。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。