RC造とは
RC造(鉄筋コンクリート造)とは、「Reinforced Concrete構造」の略称で、読み方は「あーるしーぞう」です。柱や梁(はり)に鉄筋を組み、その周囲に型枠を作ってコンクリートを流し込み、固めた構造を指します。鉄筋とコンクリートを組み合わせているため、より強化された造りが特徴です。
RC造では、柱や梁、床や壁など、建物の主要構造部分に鉄筋とコンクリートが用いられます。RC造の建物のなかには、打ちっぱなしコンクリートの内装によって人気を高めているデザイン性の高い物件もあります。
RC造とSRC造、S造、W造との違い

RC造のほかに、建物の構造は以下の4タイプがあります。
構造名 | 特徴 | |
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RC造(鉄筋コンクリート造) | 鉄筋とコンクリートが相互に補完し合う構造 | |
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) | 鉄骨の周囲に鉄筋を配してコンクリートを打った構造 | |
S造(鉄骨造) | 柱や梁などの骨組みに鉄骨を使った構造 | |
W造(木造) | 建物の主な構造部分に木材を使用した構造 |
RC造とそれぞれの構造の違いや特徴を見ていきましょう。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)との違い

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは、「Steel Reinforced Concrete構造」の略称で、鉄骨と鉄筋、コンクリートを使用した造りを指します。RC造と異なるのは、鉄骨を使っている点です。鉄骨の骨組みの周りに鉄筋を配し、コンクリートを流し込んで造る構造です。
特徴 | 一般的に強度が求められる高層の建物に用いられる | ||
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メリット | RC造の耐久性に加えて、鉄骨も採用しているため、RC造よりもさらに強度が高くなっている | ||
デメリット |
・RC造と同様に建築コストがかかるため、価格が高くなる傾向がある ・鉄骨と鉄筋コンクリートを併用しているため、建築の工程が多く、長期の工事になりやすい |
S造(鉄骨造)との違い

S造(鉄骨造)とは「Steel構造」の略称で、柱や梁などの骨組みに鉄骨を使った構造です。RC造やSRC造との違いは、比重や密度が低いことです。
特徴 | 強度が強いため、倉庫や体育館などの大きな建物を造るのに適している | ||
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メリット |
・「軽量鉄骨造」の場合、工場で部材を大量生産できるため、材料費が安く、工期も短く済む ・「重量鉄骨造」の場合、軽量鉄骨造よりも強度が高く、石やタイルといった重い仕上材も使用できる |
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デメリット |
・鉄骨は熱に弱いため、耐火被覆という仕上げを行う必要がある ・RC造やSRC造よりも比重や密度が低いため、生活音が響きやすい |
S造は鉄骨の厚さにより、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に区分されます。軽量鉄骨造は、厚さが6mm未満の鉄骨(鋼材)を使用しており、一般住宅やアパートなど低層の住宅や、小規模の店舗などで採用されることが多くあります。一方で重量鉄骨造は、厚さ6mm以上の鉄骨(鋼材)を使用しています。主に3階建て以上のマンションやビルなどで採用されています。
S造は、遮音性の高いサッシ等を採用することで、防音性や遮音性を高めるといった対策が可能です。なお、S造は重量があるため、土地の状態によってはきちんとした地盤補強が必要です。地盤補強を行う際は、住宅の建築費に加えて、地盤補強に必要なコストが余分に発生するため、予算とよく照らし合わせましょう。ただし、地盤が軟弱な場合、S造以外の構造でも地盤補強の地盤工事を行うことがあります。
W造(木造)との違い

W造(木造)とは、「Wood構造」の略称で、建物の主な構造部分に木材を使用した構造です。木材の特性から、W造は加工しやすいという特徴があります。また、RC造・SRC造・S造と比べて施工業者が多く相見積もりを取りやすいため、建築コストを抑えやすいというメリットがあります。
特徴 |
・主に一戸建てやアパート、小規模店舗といった主に2階建て以下の低層の建物で用いられる ・木の熱伝導率は、コンクリートや鉄に比べて非常に低いため、断熱性が高い |
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メリット | ・賃貸物件の場合、立地や築年数が同じであるほかの構造の物件と比較して、賃料が安いことが多い | ||
デメリット |
・軽い素材のため、RC造と比べると振動が伝わりやすく、遮音性が低い ・湿気に弱いため、腐食しやすい ・万が一、火災が起きた場合、木材は燃えやすいため、ほかの素材に比べると焼失しやすい |
また、W造には主に、柱や梁などを組み合わせた骨組み中心の木造軸組工法と、枠材に面材を緊結させた壁を組み合わせる木造枠組壁工法の2種類があります。木造軸組工法を選べば、間取りを変えるような大胆なリフォームがしやすいのもメリットです。
なお、木は断熱材と併せて使用することで優れた断熱性能を発揮します。外気の影響を受けにくいため、夏は涼しく、冬は暖かい室内空間を比較的保ちやすくなります。従来の日本家屋は、通気性がよいため、日本の風土や気候に最も適した構造ともいえるでしょう。
さらに、木造に使用される木材は、炭素を固定(貯蔵)する性質を持っており、空気中の二酸化炭素を減らす役割を果たしています。そのため、鉄骨や鉄筋を使った造りより環境にやさしいとされ、昨今、脱炭素や環境配慮の観点から建築物への木造の使用が注目されています。
RC造のメリット

RC造には、以下のようなメリットがあります。
- 強度が高い
- 防音性が高い
- 耐火性が高い
- 法定耐用年数が長い
1つずつ見ていきましょう。
強度が高い
RC造は、引っ張りに強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートを組み合わせて両者の欠点を補完しており、強度が高いのがメリットです。そのため、RC造の物件は耐震性に優れています。
防音性が高い
RC造のメリットとして、耐震性だけでなく防音性が優れている点も挙げられます。防音には遮音と吸音があり、遮音性は比重や密度が大きいほど高まります。RC造は、S造やW造よりも比重が重いため、音が伝わりにくい構造です。そのため、音に敏感な人には向いている構造といえるでしょう。
耐火性が高い
RC造は、全体として耐火性が高い構造であることもメリットです。耐火性の高いコンクリートが鉄筋を覆い、火から守る役割を果たします。加えて、建物自体が燃えにくいことから、周囲への延焼の恐れが低いというメリットがあります。
法定耐用年数が長い
RC造は、税務上の資産価値がゼロになるまでの年数を表した法定耐用年数が長いというメリットもあります。S造やW造と比較して、RC造の法定耐用年数はSRC造とともに最長です。それぞれの構造の具体的な法定耐用年数は以下の早見表の通りです。
建物構造 | 法定耐用年数(住宅) |
---|---|
RC造(鉄筋コンクリート造)、 SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) |
47年 |
S造(鉄骨造) | 重量鉄骨造:34年 軽量鉄骨造:27年であることが多い |
W造(木造) | 22年 |
上記の表から、RC造とSRC造は、そのほかの構造と比較すると10年以上も法定耐用年数が長いことが分かります。建物の資産価値を少しでも長く維持したい人におすすめといえるでしょう。
なお、法定耐用年数は上記の表のように定められていますが、実際の建物の寿命とは異なります。そのため、法定耐用年数をすぎても、経年劣化や地震で生じたひび割れなどを簡単なメンテナンスで補正することで、建物の寿命自体を延ばすことは十分可能です。
RC造のデメリット
RC造はメリットだけでなく、注意すべきデメリットもあるため、事前に確認しておきましょう。RC造の注意点は、S造やW造よりも建築コストがかかるため、住宅価格や家賃が高くなる傾向があることです。背景には、工期が長く建築コストがかかることが挙げられます。加えて、RC造の物件は、石やタイルといった比較的高価な仕上げ材を用いる傾向が高いことも要因といえるでしょう。
また、RC造は断熱性が低いため、木造や鉄骨造と比較すると室内に結露が発生しやすい点にも注意が必要です。とはいえ、新築分譲マンションの多くは、断熱材を使うことで、断熱効果を高めています。そのうえで、結露対策として定期的に換気を行うことも望ましいです。なお、2003年の建築基準法の改正後、24時間換気システムの設置が全ての住宅に義務付けられているため、以前よりも定期的に換気をしやすくなっています。さらに近年のRC造は断熱性が向上しているため、築浅物件では結露の懸念が少なくなっています。
よくある質問

RC造に関する、よくある質問に回答していきます。
RC造はうるさいって本当?
RC造は、音が伝わりにくい構造であるため、日常生活においてうるさいと感じる瞬間は比較的少ないといえます。ただし、物件によっては上の階に住む人の足音や、水を流す音などが聞こえることもあります。防音性を重視する場合は、フローリングやサッシなど、構造以外にも防音性を高めるための工夫がされている物件を選ぶとよいでしょう。
また、可能であれば隣の生活音がどの程度聞こえるかを、実際に室内で確かめるのがおすすめです。
ラーメン構造とは何ですか?
ラーメン構造とはドイツ語の「Rahmen(額縁)」を指し、柱と梁を主体とした構造です。低層から高層まで幅広い建築物に用いられており、自由な空間の妨げとなる耐力壁を出さない点が特徴です。また、ラーメン構造はリフォームの際に、自由に間取りの変更がしやすいという特徴もあります。
壁式構造とは何ですか?
壁式構造は柱や梁ではなく、壁を利用して建物を支える構造です。壁式構造は、主に5階建て以下の建物に用いられることが多い傾向があります。柱と梁で支えるラーメン構造に対して、壁を利用した面で支える壁式構造は、頑丈なためより耐震性に優れています。

ライフスタイルに合った構造を選ぼう!

建物の構造によって費用やメリットは大きく異なります。たとえばRC造の住宅は、耐震性や耐火性、遮音性を重視する方や安全性を求める方には最適といえます。なお、ある程度の耐震性は欲しいけれど新築時の建築コストや借りる際の家賃を抑えたい方はS造、環境にやさしい住宅や、リフォーム時の自由度の高さを重視する方、建築コストや家賃を抑えたい方は、W造を検討してみるとよいでしょう。
これらの構造選びについて自分で判断するのが難しい場合は、不動産会社や管理会社に問い合わせることをおすすめします。長谷工アーベストでは、豊富なノウハウを持った住まいアドバイザーがお客さまの住まい選びをきめ細かくサポートしています。住まい探しにお悩みの方は、ぜひ一度長谷工の住まいアドバイザーにご相談ください。


