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新築一戸建てにかかる費用は?平均金額や内訳を解説
新築一戸建ての購入を検討しています。ただ、一軒家を購入するとなると、いったいどのくらいの費用がかかるのか見当が付きません。新築一戸建ての平均価格はどのくらいなのでしょうか?また、諸費用はいくらほどかかるのでしょうか?費用の相場や内訳も教えてください。
新築一戸建ての価格は、土地の価格が異なるため、地域によって差があります。建売住宅の場合、全国平均価格は3495.2万円となっています。諸費用は印紙税や登録免許税などの税金を含めて物件価格の5~10%程度が必要になるといわれています。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
新築一戸建てに必要な費用とは?
マイホームの購入を検討している人のなかには、費用がどのくらい必要になるのか見当が付かず、踏み出せない人もいるのではないでしょうか?マイホームを購入した場合、物件価格以外にも税金、登記費用、手数料などさまざまな諸費用がかかってきます。
今回は、新築一戸建てを購入した場合にかかる費用の内訳や目安について解説します。総予算を把握して資金計画を立て、新築一戸建ての購入に役立ててくださいね。
新築一戸建てにかかる費用の内訳
新築一戸建てにかかる費用は主に、土地代、建築工事費、諸費用の3つに区分されます。それぞれを詳しく見ていきましょう。
土地代
既に土地を持っている人以外は、ほとんどの場合、土地代が必要になります。土地にかかる費用は地域ごとに異なります。ちなみに、よく都市部の家が高いといわれるのは、土地の価格が高いためです。
新築一戸建てを購入すると土地と建物それぞれに税金がかかるため、事前に土地の価格を把握しておくことが大切です。自身の希望を反映させて設計する注文住宅の場合は、土地を購入してから家を建てるので、土地の値段は明確に分かります。一方、家と土地を同時に購入する建売住宅の場合は、販売価格に土地代が含まれているため、ハウスメーカーに土地代を尋ねることをおすすめします。
●建売住宅に関する記事はこちら
一戸建ての種類の1つである建売住宅のメリットや注意点について、注文住宅や分譲住宅との違いに触れながらご紹介します。
建築工事費
建築工事費とは、建物本体の建築にかかわる費用のことです。内訳は、本体工事費、付帯工事費(別途工事費)、設計料の3つに分類されます。それぞれの主な内訳を以下の表にまとめました。
本体工事費 | 付帯工事費 |
設計料 (注文住宅の場合) |
|
---|---|---|---|
費用の内容 (人件費や材料費を含む) |
・土木工事 ・外装工事 ・左官工事 |
・既存建物の解体費 ・外構工事費 ・地盤改良工事費 ・電気・ガス・水道などの整備 ・造成工事 ・エクステリア工事費 |
・建築設計費 ・工事監理業務費 |
上記の本体工事費とは、一戸建ての建物本体を建てるためにかかる工事費用です。内容は、土木工事、外装工事、左官工事などで、費用は工法や工事内容によって異なります。
本体工事費は、家造りにかかる全建築費用の約70~80%を占めるといわれています。
次に、付帯工事費用とは、建物以外の工事費のことです。古い家の解体費、外構工事費や、地盤改良工事費、電気・ガス・水道などの整備、造成工事、エクステリア工事費などを含む工事費です。エクステリアとは、一般的にカーポートやガレージ、バルコニー、塀やフェンス、門や玄関アプローチなどを指します。付帯工事費は、建築工事費(本体工事費+付帯工事費)の15%~30%程度といわれています。
このほか、注文住宅の場合は、追加で設計料が必要になります。建築設計費や設計通りに工事が進んでいるかを調べる工事の監理業務も含みます。設計料は、建築工事費の5%~10%程度が目安となります。
諸費用
諸費用とは土地の購入や建物の建築以外にかかる費用のことです。諸費用として挙げられるのは、印紙税や登録免許税などの税金、登記費用、住宅ローンの手続き費用、引越し費用などです。ただし、資金調達方法や仮住まいをするかしないかなどにより、諸費用の金額は異なってきます。新築一戸建ての購入にかかる主な諸費用の内容を以下の表にまとめました。
諸費用項目 | 費用の内容 |
---|---|
不動産取得税 | 不動産を取得したときに都道府県に納付する税金 |
印紙代 | 各種契約書に貼付するもので、金額は契約金額に応じて異なる |
登記費用 | 不動産の権利関係を明らかにするために必要な「所有権保存登記」「抵当権設定登記」(住宅ローンを組む場合)などにかかる費用 |
仲介手数料 | 売主との間に仲介会社が入っている場合に仲介会社に支払う手数料 |
住宅ローン手数料 | 住宅ローンを利用する際に、融資元の金融機関に支払う手数料 |
火災保険料、地震保険料 | 住宅ローンを利用する際に、加入が必須である火災保険や加入が一般的な地震保険にかかる費用 |
司法書士への報酬 | 司法書士へ登記を依頼した場合の報酬 |
家具家電購入、引越し費用 | それぞれのケースによって異なる |
ここからは上記の内訳をより詳しくお伝えします。
●不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物などの不動産を取得したときにかかる税金で、都道府県に納付します。納める税額は、「課税標準額×税率」で計算します。課税標準額とは、固定資産税を算出する際の基になる金額です。
なお、税率は原則4%ですが、現在、軽減措置が適用されており、2024年3月31日までに取得した土地と住宅の税率は3%に引き下げられています。また、土地に関しては評価額の2分の1が課税標準額となっています。
●不動産取得税に関する記事はこちら
不動産を取得した年だけにかかる税金があることをご存知ですか?その税金を不動産取得税といいます。記事では税金を軽くする特例についても詳しく説明しています。
●印紙代
印紙代とは、不動産売買契約書や請負工事契約書などの文書に課せられる税金です。不動産を購入すると、各種契約書に貼付する印紙代が必要になります。
●登記費用
登記とは、土地や建物が誰のものかを示す手続きのことです。「所有権保存登記」、また住宅ローンを組む場合は「抵当権設定登記」が必要になります。登記の際、それぞれに登録免許税がかかります。
●登記費用に関する記事はこちら
登記の種類や費用についてご紹介しています。
●仲介手数料
注文住宅で土地を仲介によって購入するケースでは、不動産会社に対して支払う仲介手数料が発生します。
仲介手数料は法律で上限が決められており、「売買価格×3%+6万円+消費税」となっています。
●住宅ローン手数料
住宅ローンを組む場合は、融資元へ手数料を支払う必要があります。目安は借入額の1%~3%程度です。
●火災保険料、地震保険料
住宅ローンを組む際には、火災保険への加入が義務付けられています。地震保険も加入する場合には、地震保険の保険料も支払います。
火災保険料は、保険会社によって、また建物の面積や構造によって異なります。鉄筋コンクリート造より、木造のほうが高いのが一般的です。
なお、地震保険は国が基準を定めているため、保険会社によって保険料が変わることはありません。
●司法書士への報酬
登記を依頼した司法書士へ報酬を支払います。地域や司法書士によって異なりますが、目安は5万~12万円程度です。
●家具家電代、引越し費用
新築一戸建てに住むとなると、家具や家電を新しく買い替えるケースもあるでしょう。家具や家電の購入費に加えて、引越し費用も必要になってきます。
新築の一戸建てに頭金は必要?
金融機関によっては頭金なしで住宅ローンを借り入れることもできます。頭金とは、住宅価格から住宅ローンで借入する額を差し引いた金額のことで、一般的に現金で支払います。頭金を多く用意できれば、住宅ローンの借入額を抑えられるため、その後の住宅ローンの返済が楽になるうえに、返済期間も短くなる、というメリットがあります。さらに、借入金額が減れば、利子を減らすこともできます。
そのため、可能であれば頭金が用意できるとよいですが、必ず頭金を用意しなければ購入ができないという訳ではありません。
●頭金ゼロに関する記事はこちら
頭金を用意する場合としない場合を比較して、どんなメリットや注意点があるのか、どれくらいの金額の差が出るのかをご紹介します。
具体的な費用を把握してみよう
ここまで新築一戸建てにかかる費用の内訳や頭金について説明してきましたが、ここからは実際に新築一戸建てを購入した場合、どのくらいの購入費用が必要になるのか具体的に見ていきましょう。
土地代+建築工事費の平均
「住宅金融支援機構によるフラット35の利用者の所要資金調査」※によると、注文住宅、土地付き注文住宅、建売住宅、それぞれにかかる「土地代+建築工事費」の平均価格は以下の通りです。
●注文住宅(土地代なしの場合)
以下の価格は、既に土地を持っている人の場合を対象にしているため、土地代を抜いた建築費の平均価格となります。
地域 | 建築費平均価格 | 土地平均価格 |
---|---|---|
全国 | 3533.6万円 | 0円 |
首都圏 | 3808.5万円 | 0円 |
近畿圏 | 3741.5万円 | 0円 |
東海圏 | 3606.3万円 | 0円 |
その他の地域 | 3355.9万円 | 0円 |
●土地付き注文住宅(土地代ありの場合)
以下は、土地付きの注文住宅の土地代+建築工事費の平均価格です。
地域 | 建築費平均価格 | 土地平均価格 |
---|---|---|
全国 | 2961.2万円 | 1436.1万円 |
首都圏 | 2851.8万円 | 2310.2万円 |
近畿圏 | 2884.4万円 | 1655.3万円 |
東海圏 | 3112.2万円 | 1300.0万円 |
その他の地域 | 3016.3万円 | 932.9 万円 |
●建売住宅
建売住宅の場合は、住宅の販売価格のなかに土地代と建築工事費が含まれています。ここでは新築一戸建ての平均価格を「所要資金平均価格」と表記します。
地域 | 所要資金平均価格 | 土地平均価格 |
---|---|---|
全国 | 3495.2万円 | 左記に含まれる |
首都圏 | 3922.5万円 | 同上 |
近畿圏 | 3441.0万円 | 同上 |
東海圏 | 3013.1万円 | 同上 |
その他の地域 | 2841.8万円 | 同上 |
諸費用のシミュレーション
新築一戸建てを購入した場合にかかる諸費用の内訳は先にご説明しましたが、金額の目安を以下の表でお伝えします。
諸費用項目 | 費用の内容 |
---|---|
不動産取得税 |
土地:固定資産税評価額×1/2×3% 住宅:固定資産税評価額×3% (2024年3月31日までに取得した場合の税率は3%、通常は4%) (ただし、一定の要件を満たす新築住宅では軽減措置があります) |
印紙代 | 目安は2万~6万円程度 |
登記費用 | 「所有権保存登記」「抵当権設定登記」費用は固定資産税評価額や債権金額によって異なる |
仲介手数料 | 取引額が400万円超の場合は、売買価格×3%+6万円+消費税 |
住宅ローン手数料 | 3万~5万円程度、あるいは借入額の1~3%程度 |
火災保険料、地震保険料 | 火災保険:2000万円の木造住宅の場合で25万円程度(最低保証内容、保証期間10年) |
司法書士への報酬 | 5万~12万円前後 |
上記の諸費用は、物件価格によって異なります。一般的に、建売住宅の諸費用は工事費の3%~6%、注文住宅の諸費用は物件価格の5%~10%といわれています。
建売住宅の物件価格が3500万の場合であれば、諸費用は105万~210万円ほどになります。
●頭金が500万円の場合
建売住宅の購入時に頭金を500万円とした場合は、上記の諸費用を合計した金額が購入時の必要金額です。
500万円+105万~210万円=605万~710万円
新築一戸建ての費用を節約することはできる?
一戸建ての購入には多額の費用がかかりますから、少しでも節約したいものですよね。諸費用のなかには節約できるものもあります。どこが節約できるか、それぞれを見ていきましょう。
住宅ローン保証料
住宅ローン保証とは、住宅ローンの返済が滞った際に、保証会社が肩代わりしてくれるというものです。保証料は、借入金と返済期間に対して設定されるため、頭金を増やして借入金を減らすことで、節約することができます。
火災保険料
火災保険への加入は必須ですが、保険会社や補償内容を見直すことで節約することが可能です。複数の補償がパッケージになっているものを選ばず、必要な補償だけを選択していくことで保険料は安くなるので、最低限必要な補償内容を調べてみることをおすすめします。
なお、火災保険に合わせて、地震保険に入っておくと安心です。
なお、諸費用は基本的に現金払いとなりますが、諸費用ローンを利用することもできます。また、住宅ローンに諸費用を含んだ形でローンを組める場合もありますから、金融機関に尋ねてみるとよいでしょう。
購入後の維持費にも注意!
ここまでご説明してきたのは、家の購入時にかかる費用です。しかし、家を購入すると、その後も税金や建物を維持するためのメンテナンスにお金がかかります。
まず、固定資産税を毎年支払うことになります。この税金は土地と建物それぞれにかかり、不動産を所有しているかぎり支払う必要があります。また、地域によっては固定資産税に併せて都市計画税もかかります。家の購入を希望している地域ではどうなっているか、事前に確認しておくとよいでしょう。
さらに、将来のメンテナンス費用も準備しておかなければなりません。マンションであれば修繕積立金が毎月徴収されますが、一戸建てを購入した場合は自主的に修繕費用を貯金する必要があります。
●固定資産税、都市計画税に関する記事はこちら
固定資産税の調べ方や軽減措置、納税方法についてご紹介しています。
都市計画税の計算方法や軽減措置についてご紹介しています。
資金計画は慎重に立てよう
新築一戸建てを購入するには、今回ご紹介したように多くのお金が必要になります。購入を検討する際は、毎月のローン返済額と購入後に必要な費用を含めた資金計画を立て、どのくらいの物件を買えばよいかを考える必要があります。大切なのは、毎月の支払いをしても無理のない生活を送れることです。
一戸建ての購入後に子どもが生まれて教育費が必要になったり、両親の介護費が必要になったりすることもあるでしょう。そうしたライフスタイルの変化に対応できるように、資金計画には十分な余裕を持たせるようにしましょう。
難しい点や不安な点がある場合は、不動産会社やファイナンシャルプランナーに相談をして、理想のマイホームの購入を検討してみてくださいね。
※1出典:2020年度集計表住宅金融支援機構
https://www.jhf.go.jp/about/research/2020.html(最終確認:2024年3月13日)
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/