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Question

マンションの名義変更はどんなときにすればいい?方法と流れは?

知人がマンションの名義変更で苦労したという話を聞きました。名義変更って、実際にどういうときに行われるものなのでしょうか?

Answer

不動産売買や遺産相続に、生前贈与から財産分与まで、名義変更のケースはさまざまです。手間と時間がかかる名義変更は、気をつけるべき点も多いので、事前に注意点を知っておき、余裕をもって行うのがおすすめです。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

目次

名義変更って何?どんな時に行われる?

不動産に関係して名義変更という言葉を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。一般的には物件の所有名義を変更することで、所有権を移すことを意味しています。ただし、賃貸を借りている人の名義(賃借人名義)を変えることを指すこともありますが、ここでは所有名義の変更を取り上げます。

そもそも名義(所有権)を持っているということは、通常、不動産登記簿に記載された所有者であることを指します。名義変更という言葉は、この登記簿上の所有者の名義を変更することから、そう呼ばれます。登記簿に名義が記載されることで、その不動産の所有者が、たとえば自分であることを第三者に知らせ、権利を主張することになります。

ここで少し難しい話になりますが、日本の登記に関しては「公信力」が認められていないので、「登記簿に記載されているからその不動産の真の所有者である」という証明にはなりません。たとえば、現在の登記簿に記載されている所有者がすでに亡くなっている場合、真の所有者は不明です。相続人かもしれませんが、贈与された全く別の人かもしれないのです。この場合、真の所有者が相続人の息子だったとしても、登記簿に記載されていないので、売買では信用できるものが何もなく、売買そのものが難しくなってしまいます。そういったことがないよう、やはり最低限登記簿の名義変更はしておく必要があります。

また、名義(所有権)を持つということは、所有する権利を持つことでもあり、所有に伴う義務を負うことでもあります。ここでいう義務とは、固定資産税や都市計画税といった納税の義務やマンションの管理費・修繕積立金の負担義務などを指します。

名義変更 氏名
※イメージ写真

マンションの名義変更が行われる代表的な4つのケース
マンションなどの不動産の名義変更(所有権移転)が行われるケースについて、代表的なものとして以下の4つをみていきましょう。

[ 1 ] 不動産売買
不動産を売買するときも名義変更が行われます。自分が所有する自宅を誰かに売却した場合は、自分から購入者へ名義を変更します。逆に、不動産会社などから自分が購入した場合も自分名義へ変更します。

[ 2 ] 遺産相続
不動産を所有していた方が亡くなられた(相続が発生した)場合、誰が何を、いくら相続するかの話し合いを経て、不動産を相続する相続人の方へ名義変更をします。

[ 3 ] 贈与(生前贈与)
理由はさまざまですが、たとえば、生前に親が子に保有する財産を譲ることを贈与といいます。自宅をはじめとする不動産を贈与した場合には、贈与を原因とした不動産の名義変更が行われます。

[ 4 ] 財産分与
財産分与とは、夫婦が離婚する場合に、それまで夫婦が協力して築いた財産を清算・分配することをいいます。たとえば、財産分与の話し合いの結果、夫名義の自宅マンションを妻へ分与する場合、妻へと名義変更がなされます。

不動産の名義を変更する際には、先のケースそれぞれに注意すべきポイントがあります。また、いずれのケースでも登記簿の名義を変更(移転)する必要があるため、法務局への申請が必要になります。名義変更でもケースによって用意する書類が異なってきます。それぞれのケースについて注意すべきポイントと必要書類についてご紹介していきましょう。

不動産 書類
※イメージ写真

不動産売買による名義変更の注意点とは?
自分が所有する不動産を他人に売る場合、もしくは他人から不動産を購入する場合、所有権移転(名義変更)の登記が必要になります。

売買時の名義変更では、売主がその権利を持った者かという確認が必要です。通常は司法書士が登記手続きを行うため、契約後引渡し前に本人確認することにより登記簿に記載された者と売主が同一の人物か確認をします。また、通常、契約前に不動産会社の担当者が事前に登記簿の名義人と売主が一致することを確認しますが、契約時に自分でも確認する方がよいでしょう。
具体的には、売買契約の際、登記簿に記載されている名義と売主の身分証明書の名前が一致するかを確認し、登記簿だけでなく、権利証(登記識別情報通知)を確認するようにします。

不動産会社は、売買にあたって最新の登記簿を用意することが一般的ですが、万一、契約時に提示された登記簿謄本が古いものであれば、最新のものを自分で確認する必要があります。

不動産売買による名義変更に必要な書類は?
[ 不動産を購入する側 ]
・住民票
・顔写真付きの、本人確認書類(運転免許証など)
・印鑑証明書(※必要な場合のみ)

[ 不動産を売る側 ]
・最新の固定資産評価証明書
・顔写真付きの、本人確認書類(運転免許証など)
・印鑑証明書
・登記済権利証、もしくは登記識別情報通知
・住民票(※必要な場合のみ)

また、上記のほか、司法書士に依頼して登記手続きを行う場合は、購入する側も売る側も司法書士への委任状が必要になります。なお、名義変更(所有権移転登記)は不動産の引き渡し・決済の日に行いますので、必要書類は引き渡し・決済日までに準備する必要があります。

相続による名義変更の注意点とは?

相続による名義変更では、所有者がすでに亡くなっているため、相続人(相続を受ける人)からの単独申請となり、添付書類が非常に厳格になります。

相続税の支払いについては申告期間が定められていますが、相続による不動産の名義変更(所有権移転登記)は、申請期限などが設けられていません。そのため、相続後名義変更の登記をせず、他界された元の所有者のままということもよく見かけます。

名義をそのままにしておくと、相続税の支払いのために不動産を売却しなければならない場合やさらに相続が発生した場合などに非常に困ってしまうことがあります。通常、相続後に不動産を売却する場合には相続登記(相続による所有権移転登記)を終えていなければ、取引ができません。また、新たな相続が発生した場合、遺産分割協議がまとまらないなどの問題が発生することがあります。こうした状況にならないためにも相続が発生したら、すぐに分割協議を行い、速やかに不動産の名義変更することをおすすめします。

相続による不動産の名義変更(相続登記)では、申請に必要な書類も厳格なので、大変でもきちんと準備する必要があります。特に、遺産分割協議による名義変更の場合、遺産分割協議書は相続人全員が参加したものであることが必要で、一部でも欠けた場合は無効になりますので、ここでも注意が必要です。

相続による名義変更に必要な書類は?
[ 相続を受ける(相続人)側 ]
・遺産分割協議書(法定相続と異なる場合)
・遺言書・検認調書(遺言による場合)
・調停や裁判の調書(調停や裁判による場合)
・相続放棄申述受理証明書(誰かが家庭裁判所に相続放棄を申述した場合)
・相続人の戸籍謄本または抄本(全員分)
・相続人の印鑑証明書(全員分)
・相続する物件の最新の固定資産評価証明書
・相続人の住民票
・相続人の身分証明書(全員分)
・登記済権利証(登記識別情報通知)

[ 亡くなった方(被相続人)に関する書類 ]
・出生~死亡までの経緯が確認できる戸籍謄本・除籍謄本のいずれか

また、司法書士に相続による名義変更(相続登記)を依頼する場合は、司法書士への委任状(相続人全員分)が必要になります。

贈与(生前贈与)による名義変更の注意点とは?

生前に贈与する最も一般的な理由は相続税対策でしょう。単純贈与(相続に関係なく単なる贈与)ではなく、相続に関連する贈与の場合は、特例もあるため、贈与税の特例が認められる要件を満たすように名義変更をすることがポイントになります。不動産の名義変更に関わる贈与税の特例では、居住用不動産の夫婦間贈与や相続時精算課税制度を利用した親子間の贈与などがあります。

不動産を所有している方が、生前のうちに贈与する場合の名義変更(所有権移転)では、一般的な売買による名義変更と少し異なり、以下の書類が必要になります。

贈与(生前贈与)による名義変更に必要な書類は?
[ 名義を移される側(受贈者) ]
・身分証明書
・住民票
・登記原因証書(贈与契約に関する書類)(※)

[ 名義を移す側(贈与者) ]
・身分証明書
・住民票(※必要な場合のみ)
・登記原因証書(贈与契約に関する書類)(※)
・最新の固定資産評価証明書
・印鑑証明書
・登記済権利証、もしくは登記識別情報通知
※どちらが提出してもよいものです。

また、不動産を贈与する場合には、不動産贈与契約書を取り交わす必要があります。自分で準備してもよいですが、不動産会社や司法書士、弁護士などにその契約書を準備してもらうと安心です。

財産分与による名義変更の注意点とは?

夫婦が離婚により財産分与する場合、まず対象となる不動産は婚姻後に形成した財産(共有財産)に限られます。婚姻後でも一方が相続や贈与によって取得した財産(特有財産)は財産分与の対象とはなりません。
分与を受ける側は離婚時から2年以内に分与の請求する必要があります。2年を超えてしまうと分与の請求ができなくなりますので注意が必要です。

離婚届を出す前など、正式に離婚が決まる前に財産分与をしてしまうと、贈与とみなされ、贈与税が課税されることがありますので、この点も注意すべき点になります。

また、財産分与時の名義変更(所有権移転)では、住宅ローンの残債がある場合は特に注意が必要です。マンションなど不動産の名義変更はできても、住宅ローンの名義は簡単に変えることができません。実質的には、住宅ローンの借り換えをしなければなりませんが、借り換え自体が非常に難しいという現実があります。財産分与で分与を受ける側の収入など条件が整っていても、金融機関が許可を出さない傾向があるためです。

特に、夫婦2人名義で住宅ローンを借りていた場合は、財産分与によって分与を受けた側だけの収入では住宅ローンの返済は難しいと判断され、金融機関が住宅ローンの名義変更を認めることは少ないでしょう。実際、2人で支払っていた住宅ローンを1人で返すことになりますので、現実的ではないということになります。

従って、財産分与ではそのまま不動産の名義変更するケースよりも、不動産を売却して現金で分与する場合が多くなります。

財産分与による名義変更に必要な書類は?
[ 名義を移される側(分与を受ける側)が用意する書類 ]
・身分証明書
・住民票(※必要な場合のみ)
・離婚日が記載された戸籍謄本(※)
・離婚協議書(協議離婚の場合)(※)
・調停や裁判の調書(調停や裁判による場合)(※)

[ 名義を移す側(分与する側)が用意する書類 ]
・身分証明書
・印鑑証明書
・登記済権利証、もしくは登記識別情報通知
・最新の固定資産評価証明書
・住民票(※必要な場合のみ)
・離婚日が記載された戸籍謄本(※)
・離婚協議書(協議離婚の場合)(※)
・調停や裁判の調書(調停や裁判による場合)(※)
※いずれかを用意すればよいとされています。

また、不動産を所有する方が離婚により、財産分与前に住所を移転していた場合は、所有権移転登記の前に住所変更登記が必要になります。

なお、司法書士に財産分与による名義変更(所有権移転登記)を依頼する場合は、司法書士への委任状(相続人全員分)が必要になります。

名義変更っていくらかかるの?必要な費用と所要期間は

不動産売買、相続贈与、生前贈与、財産分与いずれのケースでも名義変更(所有権移転登記申請)の際はその費用が必要になります。おおよそ必要な費用についてご紹介していきます。

お金の計算をする夫婦
※イメージ写真

費用その1:書類の取得
司法書士に名義変更を依頼する場合でも、法務局へ所有権移転(名義変更)の申請をする際、下記のような必要書類を準備する必要があります。一般的に自分で取得費が必要になる書類は、以下の通りです。

・住民票
・印鑑証明書
・固定資産評価証明書(物件を売る側)
・戸籍謄本(相続、財産分与)
・除籍謄本(相続)
・登記簿謄本(必要に応じて)

これら必要書類は、取得するのにそれぞれ数百円(300~750円)程度が必要になります。合計で数千円程度なので、不動産関係の出費のなかでは少額ではありますが、一応は念頭に置いておきましょう。

費用その2:税金の支払い
名義変更を行うための費用のなかでは、税金に関係するものが最も大きな費用といえるでしょう。名義変更する不動産の価格(売買価格や相続税評価額、固定資産税評価額など)や名義変更のケースによっては数百万円の負担となることもよくあります。

名義変更を行う過程で支払う可能性がある税金は、以下の通りです。当てはまるケースも一緒にご紹介します。

[ 不動産取得税 ]
不動産を取得した際にかかる税金。固定資産評価証明書にある不動産の評価額を元に、土地と建物、それぞれに税金がかかります。なお、名義変更後しばらくしてから支払うことになるので、準備を忘れないようにしましょう。

納税する義務を負うのは、以下の方となります。

・不動産売買によって購入する側
・贈与(生前贈与)によって名義を移してもらう側(受贈者)

相続と財産分与によって名義変更した場合、相続した方や分与を受けた方(新たな所有者)には、通常、不動産取得税は課税されません。ただし、慰謝料として財産分与を受けたとみなされる場合には不動産取得税が課税されることがあります。

名義変更のケースによっては、課税が減免される場合もあるので、詳しい要件など確認してみてください。不動産取得税については、下記の記事で詳しく紹介しています。おおよそどのくらいかかるかなど計算方法も確認できるので、一緒にチェックしてみてください。

●不動産取得税に関する記事はこちら

不動産取得税はいくらかかる?軽減措置も併せてご紹介

不動産取得税の軽減措置についてご紹介しています。

[ 不動産譲渡所得税 ]
土地や建物など不動産を譲渡することによって生じる所得を譲渡所得といいます。名義変更のなかでも特に売買では、売却時の売買代金から売却にかかった費用と取得時の不動産の代金、取得にかかった費用の合計金額を引いてプラスとなった場合、発生する可能性が高い税金です。

財産分与の際に、財産を分与した側は不動産購入時の取得価格より、財産分与時の不動産価格が高い場合には、原則として不動産譲渡所得税が課税されます。ただし、要件を満たせば、いずれのケースでも控除の特例などが受けられます。

納税する義務を負うのは、以下の方となります。

・不動産売買によって不動産の名義を渡す側(売主)
・財産分与によって名義を移す側

なお、個人間の相続や贈与で譲渡所得は生じません。従って、夫婦や親子など個人間の贈与で譲渡所得税がかかることはありません。

[ 登録免許税 ]
不動産の名義変更は、登記簿上の名義を書き変える(所有権移転登記する)ことです。登記簿上の名義を書き変える所有権移転登記申請の際、登録免許税がかかります。登録免許税は、不動産名義変更のすべてのケースで発生する費用といえます。
登録免許税は、名義変更の種類と不動産の価格によって異なります。

納税する義務を負うのは、以下の方となります。

・不動産売買で購入する側(新所有者)
・相続の際に名義を移してもらう側(相続人)
・贈与(生前贈与)で名義を移してもらう側(受贈者)
・財産分与で名義を移してもらう側

登録免許税についても、名義変更のケースによって税率が異なるなど条件が変わってきます。具体的な税額の求め方などは下記のリンク先で紹介しているので、一緒にチェックしてみてください。

●登録免許税に関する記事はこちら

登録免許税とは?計算方法や最新の軽減措置について解説

登録免許税の計算方法や最新の軽減措置についてご紹介しています。

[ 贈与税 ]
贈与税は、1人の個人から贈与してもらった財産の額が年間110万円(暦年贈与の基礎控除額)を超えると、超えた金額に対して税金が課され、1年間の贈与の対象は不動産も含まれます。贈与税の課税対象となる納税者は、不動産の贈与によって名義を移してもらう側です。不動産の名義変更に関わる贈与税には、居住用不動産の夫婦間贈与の特例、相続時精算課税制度などの特例があるため、贈与される財産額が年間110万円を超えてしまう場合はチェックしておきましょう。

●贈与税に関する記事はこちら

住宅取得資金の贈与を受けたら?贈与税の非課税制度について解説!

住宅取得に関する贈与税の非課税制度についてご紹介しています。

費用その3:専門家(司法書士)を利用する場合の手数料
不動産の名義変更は、登記簿上の所有者の名義変更をすることです。登記簿上の名義変更(所有権移転登記)にはさまざまな書類が必要なことはご紹介しましたが、必要書類以外にも登記の申請用紙に記載するなど手続きの手間と専門的な知識を必要とする場合があります。

そうした煩雑な手続きを専門家である司法書士に委託することで、報酬は発生しますが、手間を省くこともできます。司法書士に依頼する場合の司法書士報酬は、依頼する内容や扱う不動産の価格などによってもばらつきはありますが、一般的な不動産であれば、10万~数十万円程度が目安となりそうです。

かかる期間はおよそ2週間から1か月が目安
一般的に、名義変更、つまり登記簿上の名義書き変え(所有権移転登記)にかかる期間は、準備から登記の完了までおよそ2週間から1か月といわれています。申請に必要な書類を集めるのに1~2週間、法務局に登記申請してから登記が完了するまでに1~2週間。申請後、もし不備があればさらに修正する時間がかかります。

いざというときの名義変更のために

不動産の名義変更のケースや、それぞれのケースで必要な書類についてご紹介してきました。ケースごとの注意点や必要な書類を少し知っておくだけでも、本当に名義変更が必要になった場合に慌てることは少なくなるのではないでしょうか。

また、名義変更の際の書類や相場感などを何も知らずに司法書士に依頼するよりも、今回ご紹介した内容を知っていれば、名義変更がスムーズに進むかもしれません。不動産は高額で大切な財産だからこそ、名義変更なども焦らず対応していきたいですね。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。