マンション購入ガイド
家事動線をチェック!家事が楽になる間取りの考え方とは?
1歳児の母です。ようやくマンションを購入することになったのですが、両親が「家事動線がよいところを選びなさい」といっています。家事動線って何でしょう?家事動線は暮らしに影響を与えるものですか?

家事動線とは、家事をするために移動する経路のこと。家事動線が長い間取りほど家事に負担を感じ、逆に家事動線が短い間取りだと毎日の家事が楽に、スムーズに行えますよ。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
家事動線とは?
住まいには、さまざまなスペースがありますよね。リビング・ダイニング、キッチン、洗面所、お風呂場、そしてトイレ。それから廊下や階段、寝室やベランダなど。人は毎日こうした多くの空間を行ったり来たりしながら、掃除や洗濯、料理などの家事をこなしています。家事のために動くこの経路を「家事動線」と呼びます。
この家事動線が長いと、動く距離が長くなる分、家事の負担が大きくなり、逆に家事動線が短いと、家事がとても楽になります。家事の負担を減らして楽に家事ができる、家事動線が短い間取りの物件を選びたいものですよね!
家事動線が短い間取りの場合は、家事が楽になるだけでなく、家事の時間が短縮されるため、子育てや自分のための時間が増えるといわれています。
では、家事動線が短く、家事が楽になる間取りとはいったいどのようなものでしょうか?

快適な動線の間取りとは?
日々の家事の負担を減らせるようにするために、家事動線を2つの視点で考えてみましょう。
・「料理と洗濯」などの、複数の家事を効率的に進めるための動線
・1つの家事内の行程を効率化するための動線
これら2つの動線が短いほど、家事は楽になります。それでは、具体的にそれぞれの動線についてご説明しましょう。
複数の家事を効率的に進めるための動線
忙しい毎日のなか、料理をしながら洗濯や掃除をしたり、いくつもの家事を同時に行うことがありませんか?特に子育て中の人なら、子どもの世話をしながら、キッチンとランドリーを1日の間に何回も往復していることもあるのではないでしょうか?
そんなときには、住まいのなかの動線を確認してみてください。
たとえば、キッチンとランドリーが離れていれば、移動距離が長く、しかも何度もドアを開け閉めしなくてはならないため、面倒ですよね。
しかし、キッチンとランドリーがつながっている間取りなら、ドアをスライドして数歩歩くだけでキッチンから楽にランドリーへ移動できます。これなら、料理中に洗濯することができますよね。 このように、キッチンとランドリー(脱衣所・洗面台)の間を直接行き来できるような配置のキッチンを「ツーウェイキッチン」と呼びます。
また、キッチンから直接バルコニーに出られると、生ゴミを出すのに便利になりますよね。ツーウェイキッチンに加え、バルコニーへも直通動線があるキッチンは、「スリーウェイキッチン」と呼ばれます。家事動線を考慮するなら、スリーウェイキッチンが理想だといえるでしょう。
なかには、キッチン、ランドリー、リビングが扉を挟んで隣り合っている間取りもあります。こうした間取りは、家事動線をより短くし、ストレスを減らすために考えられたもの。この家事動線は、ぐるぐる回れるため、「回遊動線」と呼ばれています。
それぞれの部屋へスムーズに移動できるこのような間取りなら、複数の家事を効率的に進められる「快適な家事動線の住まい」だといえるでしょう。
1つの家事内の行程を効率化するための動線
家事を効率的に進めるためには、ひとつひとつの家事の行程も効率化したいですよね。
なかでも1日の家事のうち、多くの時間をさくことになる「料理」と「洗濯」を効率化する家事動線のアイディアについてご紹介しましょう。
●キッチン
キッチンは小回りがきく広さが理想的。広いキッチンに憧れを持つ方もいるようですが、家事動線を考えると、キッチンは「広ければよい」とはいいきれません。広過ぎると動く距離が長くなる分、調理時間も長くなってしまうからです。
しかし、冷蔵庫、シンク、調理台、コンロの間を数歩で移動できれば、料理が楽になり、時短にもつながります。家事動線を短くするためには、家電や設備は数歩で移動できる位置に配置しましょう。たとえば、冷蔵庫はシンクの近くに。電子レンジは冷蔵庫の隣に置くなど、移動が楽で、料理がスムーズにできるように配置してくださいね。
●ランドリー
洗濯には6つもの過程があります。洗う。干す。はずす。たたむ。分ける。しまう。この行程がスムーズに行える間取りだと、家事がぐんと楽になります。
たとえば、脱衣所に洗濯機があり、すぐ隣にサンルームなどの干す場所があると、服を脱いでから洗濯をして干すまでの家事動線が短くなります。
また、脱衣所にタオルやパジャマ、下着など、お風呂場で使うことが多いアイテムの収納スペースがあると、家事がぐっと楽になりますよ。使う→洗う→干す→しまう→使う、という一連の行為を同じ場所で行うため、家事の時間を短縮することができます。
家事動線が楽な住まいの見分け方とは?
家事の負担を減らして、少しでも楽な暮らしを送りたい…。そう願うなら、家事動線を考慮した住まいを選ぶようにしましょう。動線次第で、その後の生活が楽にも苦にもなりますから、事前にしっかり家事動線をチェックすることをおすすめします。
では、具体的にどのように見分ければよいのかというと、方法は2つあります。
[ 1 ] 間取り図に自分で動線を引く
[ 2 ] 内見の際に自分で歩き回る
[ 1 ] 間取り図に自分で動線を引く
まず、物件の間取り図に、自分で動線を引いてみましょう。
線が重なりあったり、くねくね曲がっていたり、動線が何回も行き来するようなら、非効率的な間取りで、無駄な動きが多くなるということです。
たとえば、2階建ての住まいで1階にランドリーとクローゼット、2階にサンルームかベランダがある家を例にとって洗濯の家事動線を例を考えてみましょう。
1. 1階で洗濯をし、2階へ行って洗濯物を干す。
2. 1階のリビングへ戻り、乾いた頃に再び2階へ行き、洗濯物を取り込む。
3. 1階へ降りて、洗濯物をたたみ、クローゼットへしまう。
この場合、実際に間取り図の上で線を引いてみると、階段や廊下やリビングで何回か線が行き来し、重なるはずです。つまり、線を引くことで、1回の洗濯の家事動線が長く、効率的ではない間取りだということです。 このように間取り図に線を実際に引くことで、家事動線が短いか長いかが洗濯にかかる時間も長いということがひと目で判断できます。
[ 2 ] 内見の際に自分で歩き回る
マンションの内見に行ったら、家事動線がどうなっているかを想像しながら、住まいの中のなかを歩き回り、家事動線の長さを自分でチェックすることも大切です。実際に普段の生活をイメージしながら、物件の中を歩き回ってみましょう。
また、なお、間取り以外の部分でも、家事動線は日々の暮らしのなかで家事を楽にする方法があります。それは、使うものを使う場所に収納すること。たとえば、キッチンであれば、トースターの近くにパン皿やマグカップを置く。炊飯器のそばにはご飯茶碗を。脱衣所であれば、洗濯機のそばに脱衣かごを。このように、使う場所に使うモノを置くだけで、毎日の家事が予想以上に楽になりますよ。
●家事動線を考えた収納に関する記事はこちら

日々の暮らしをラクにする、家事動線を考えた収納術をご紹介します。
家事動線が考えられた住まいで手にするのは、ゆとりのある暮らしです。家事動線が楽になる間取りを選び、これから始まる新しい暮らしを楽しんでくださいね!

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/