マンション購入ガイド

2018.03.30

Question

パワーカップルとは?夫婦2人で住宅ローンを組むペアローンとは?

夫婦ともに働いており、2人の収入が1,000万円以上あるので、収入合算でマンションの購入を検討中です。私たちのような夫婦を最近ではパワーカップルというのですね。新聞に載っていたのですがこれって何か定義があるのですか?また、パワーカップルはペアローンと呼ばれるローンが組めると書いてあったのですが、どのようなローンでしょうか?

Answer

パワーカップルに明確な定義はありません。ペアローンは夫婦それぞれ自分名義で債務を負うこと。メリットと注意点も。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

目次

じわじわと注目を集めている「パワーカップル」とは?

皆さんはパワーカップルという言葉を聞いたことがあるでしょうか?最近じわじわとメディアにもその言葉が取り扱われ、住宅・不動産領域ではしばしば耳にする言葉となってきたようです。そんなパワーカップルの明確な定義はないようですが、以下のような特徴のみられる夫婦のことを呼ぶとされています。

<パワーカップルとは>
・夫婦がともにフルタイムで働いている
・世帯としての収入が1,000万円以上、それぞれの収入が700万円以上
・購買が高い

また、パワーカップルには子どものいない共働きの夫婦世帯、いわゆるDINKSだけでなく、子どもがいる夫婦にも上に挙げたような条件が揃っていればパワーカップルというらしく、新しい夫婦の捉え方といえそうです。

パワーカップルが購入するマンションって?
パワーカップルは購買力が高く、比較的予算に余裕があるため、マンション選びでも妥協せずに物件を購入しているようです。

パワーカップルが選ぶマンションとしては、通勤利便性を最も重視し、都心部のマンションあるいは都心部に非常に近いマンションが優勢といえるでしょう。さらに、都心部にありながら静かな周辺環境や買い物の利便性なども同時に求める性格上、結果的に人気の高い立地の高額マンションを購入する傾向があるようです。

夫婦で住宅ローン返済をする場合の3つの種類

まず、ペアローンについてお話しする前に抑えておきたいのが、夫婦で住宅ローンを組む場合には以下の3つの組み方があるということ。

[ 1 ]連帯保証 夫婦のうち1人が主たる債務者となり、配偶者が連帯保証人として住宅ローン(1本)を借りる。
[ 2 ]連帯債務 夫婦が連名で住宅ローン(1本)を借りる。
[ 3 ]ペアローン 夫婦がそれぞれの名義で住宅ローン(2本)を借りる。

3つの住宅ローン返済について詳しくお話ししましょう。

[ 1 ]連帯保証
連帯保証は、連帯保証人が住宅ローンなどの債務を負った「本人の支払いに対して保証」することで、本人の支払いが滞った時に支払い義務が発生します。支払いを保証しているだけなので、購入したマンション等の共有者となることはできません。

[ 2 ]連帯債務
連帯債務者は、申し込み者本人と「連帯して債務を負う」ため、金融機関から見るといつでも本人または連帯債務者に支払いを求めることができます。連帯して債務を負っていることから、購入したマンションなどの名義については、基本的に連帯する割合(収入割合等)に応じて共有することとなります。

[ 3 ]ペアローン
ペアローンとは、考え方は連帯債務と同じですが、夫婦それぞれが明確に借入額を定めて自分の名義で住宅ローンを借りるというものです。それぞれのローンに対して夫婦それぞれが債務を負い、お互いにローンの連帯保証人になるのです。

〈例〉
マンション購入額 7,000万円
借入額 6,000万円

一般的な住宅ローンは借入額の6,000万円を、一般的には夫婦いずれか収入の高い方を主たる債務者として1人の名義で組むか、夫婦の収入を合算して連帯保証人となる、夫婦連名で連帯債務を組むという形があります。

一方、パワーカップルの場合は、夫婦ともに所得が高いこともあり、ペアローンを利用して住宅ローンを組むことができます。ペアローンの場合は、例えば「夫名義、3,000万円」「妻名義、3,000万円」という形になります。

夫婦で住宅ローン返済、ペアローンのメリットとは?
ここでは、夫婦ともに所得が高くパワーカップル等に利用可能なペアローンについてさらに詳しくお話ししていきます。

収入合算によって住宅ローンを組む場合でも夫婦いずれか1人で借りるよりも多く住宅ローンを借りることはできますが、金融機関によっては「合算者の収入の1/2まで」「主たる債務者の収入の1/2まで」といったように合算者の収入に対して最大限住宅ローンを借りることができないことも。そういった点では、ペアローンの方が多く住宅ローンを借りることができるといえます。

団体信用生命保険についてはこちらで詳しく解説しています。
住宅ローン借入に必要な団信(団体信用生命保険)って何?

団体信用生命保険は特殊な保険で、住宅ローンなどの長期ローンを借りた際にしか加入できませんが、一般的な生命保険よりも保険料が安いといわれています。

ペアローンの場合は、夫婦それぞれが自身の名義で住宅ローンを借りるため、それぞれがこの団体信用生命保険に加入することができます。

一方、収入合算による連帯債務での借り入れの場合は、金融機関によっては主たる債務者を設定し、その方しか団体信用生命保険に加入できないことがあります。この場合は、収入合算して連帯債務で住宅ローンを借りているものの、団体信用生命保険に加入していない連帯債務者に万一のことがあっても残債が減ることがなく、多額のローンを1人の収入分だけで返済していかなければならなくなります。

ただし、最近は連生団体信用生命保険という、連帯債務者も加入できる保険が用意されている金融機関もあります。

●住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)をそれぞれ利用できる
ペアローンでは、要件を満たせば「住宅ローン控除」を夫婦2人(各個人)とも利用することができます。住宅ローン控除は、10年以上の長期住宅ローンを借りた場合に、その年末残高の1%かつ40万円以下を限度として10年間にわたって税額控除を受けることができる制度です。

住宅ローンで税金が軽くなる「住宅ローン減税」「住宅ローン控除」って?
住宅ロ-ン控除を受けるための確定申告の仕方とは?

控除額には限度(一般的な新築マンションであれば年間最大40万円)があるため、所得が高く、多くの税金を支払っている人が1人で多額の住宅ローンを組んでも、上限以上に住宅ローン控除の恩恵を受けることはできません。

〈例〉
世帯からみた借入額:6,000万円

●1人の名義の場合
借入額:夫名義6,000万円
控除対象年末融資残高:4,000万円まで
4,000万円を超える融資残高分について税金の控除を受けられません。

●夫婦それぞれの名義の場合
借入額:夫名義3,000万円
妻名義3,000万円
控除対象年末融資残高:各人4,000万円まで
夫婦2人でそれぞれ借りているので、夫の年末融資残高、妻の年末融資残高を限度額としてそれぞれ控除を受けることができます。

ペアローンの注意点とは?
ペローンのメリットに続き、注意点についてもお話ししましょう。

●団体信用生命保険の適用はそれぞれ
ペアローンの団体信用生命保険には、注意点もあります。
ペアローンの場合の団体信用生命保険は夫婦それぞれ個人に対する生命保険なので、夫婦いずれか一方に万一のことがあった場合、残債が相殺されるのは、その方の分のみとなります。そのため、もう一方の方の支払いは当然継続することになります。

●手続きと諸費用が夫婦2人分に!
ペアローンは夫婦それぞれが個人として借り入れをするため、住宅ローンの手続きが2人分になります。つまり、金融機関に支払う事務手数料、保証料といった諸費用もそれぞれの負担となるため、1人で借りる時よりも手間と費用が多少増えることになります。

●夫婦2人とも審査に合格する必要がある
ペアローンの審査は夫婦それぞれ個人の状況で審査されます。そのため、ペアローンの利用にあたっては2人とも金融機関の審査をクリアしなければなりません。自動車ローンやカードローンなどの他の借り入れがあると、その分、融資限度額が減ってしまうことがあるので注意が必要ですね。

●贈与税がかからないよう配慮が必要
住宅ローンをペアローンで借りた場合、購入したマンションの名義を夫婦それぞれの借入金額に応じた割合(正確には頭金を含めた出資金の割合)で共有とすることが必要となります。

この割合を借入金額に応じた割合に合わせず偏った持ち分にしてしまうと、その割合の差に応じた分の金額が贈与されたこととみなされ、贈与税が課されてしまうことがあります。ペアローンを利用してマンションを購入する場合にはマンションの名義(持ち分)の割合にも注意しましょう。

●住宅ローンの借り換えする時の抵当権に注意
住宅ローンなどでお金を借りる際、建物や土地を担保される権利を抵当権といいますが、ペアローンの場合、夫婦それぞれが2つのローンを組んで1つのマンションを購入するため、マンションには2つの抵当権が設定されています。

通常、金融機関は住宅ローンなどの融資に対して、第1位の抵当権設定を要件としています。そのためペアローンを組んでいる状態で、夫婦のどちらかの借り入れ先を変えたいとなっても、もう1人分の抵当権が残っている状態となるため、借り換えをすることができないという訳です(借り換え先の金融機関が了承しません)。

そのため、ペアローンの借り換えにあたっては2人同時に借り換えるか、1人分のローンを完済して1人分だけとして借り換えする必要があるといえます。

●ペアローンは夫婦とも将来にわたって働くことが前提
ペアローンは、長期にわたり夫婦が共働きすることを前提としているローンのため、将来夫婦いずれかが働かない可能性がある場合には、利用そのものを検討する必要があります。
ペアローンの利用をしたいが、将来夫婦いずれか一方が働かない可能性がある場合には、以下のような配慮が必要です。

・いずれか一方の借入額を比較的短期で返済できる金額に抑える
・いずれか一方の収入で返済できる(この場合返済に対する贈与税にも注意)範囲にする

以上、最近話題になっているパワーカップルとペアローンについてお話ししました。パワーカップルのマンション購入であっても、住宅ローンの借り入れ等に注意点はつきもの。パワーカップルであっても、そうでなくても、マンションの購入や住宅ローンの借り入れの際には、専門家に相談して自分に合ったプランを組むのがおすすめです!

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。