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Question

瑕疵とは?不動産売買の責任について

子どもたちも自立したので、今住んでいる一戸建てを売却し、夫婦二人暮らしに向けて郊外のマンションを購入しようか検討しています。物件情報を収集するなかで、「瑕疵」という言葉を目にしましたがよく意味が分かりません。瑕疵とは何でしょうか?

Answer

瑕疵とは、もともと「通常あるべき品質・性能を有しないこと」を意味し、不動産の場合、土地や建物にある何らかの不具合や欠陥のことをいいます。引渡し後の土地や建物に瑕疵が見つかった場合、買主は売主に対して補修や賠償請求ができる権利が法律で定められています。実際の対象の範囲や責任期間は、契約内容によって異なりますが、基本的には法律で定められた内容に従わなければなりません。

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

目次

不動産の瑕疵とは?

不動産の売却や購入を検討していると、「瑕疵」という言葉を目にすることがあるかもしれません。瑕疵とは、欠陥・欠点といった意味の言葉で、「かし」と読みます。不動産における瑕疵は、土地や建物に何らかの不具合があり、本来の役割を果たしていない状態を指しています。

瑕疵は、不動産取引で頻繁に出てくる法律用語です。なかでも「隠れた瑕疵」として不動産売買の際に使われることがあります。「隠れた瑕疵」とは、契約時に買主から知らされなかった、あるいは買主が通常の注意を払ったにもかかわらず発見できなかった瑕疵のことをいいます。たとえば、引渡し後しばらくたってから、引渡し前からあった配管からの水漏れが発見されたり、シロアリの被害があったことが分かったりといったようなことです。具体的な瑕疵の内容については後ほど詳しくご紹介します。

ほかにも不動産取引でよく聞く言葉として「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」という法律用語があります。これは、瑕疵に対する売主側の責任のことですが、不動産の引渡しを受けた後に「隠れた瑕疵」が見つかった場合、買主に対して補修や損害賠償を行うなど、売主が負わなければならない責任のことをいいます。2020年の民法改正で、「瑕疵担保責任」は、「契約不適合責任」という概念に変わり、売主が負う責任の内容も変わっています。

今回は、不動産の瑕疵とはどのようなものか、また瑕疵が発覚したときにはどう対処すればよいのかについて、不動産売買の売主と買主、双方の責任や権利を踏まえながら解説します。

住宅の点検
※イメージ写真
不動産の瑕疵は大きく4つ

不動産における瑕疵は、大きく「物理的瑕疵」と「心理的瑕疵」、「法律的瑕疵」、「環境的瑕疵」の4つに分けられます。ここでは、それぞれの意味や具体例について見ていきましょう。

物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、建物や土地そのものなど、目的物にある物理的な欠陥のことをいいます。物理的な瑕疵では、目に見える瑕疵以外にも、先に述べたような配管からの水漏れやシロアリの被害などのような、建物内の目に見えない部分についても「隠れた瑕疵」として見なされます。建物や土地の隠れた瑕疵には、以下のような例があります。

建物の瑕疵の例 土地の瑕疵の例
・床に傾斜がある
・シロアリ被害がある
・壁にひび割れがある
・雨漏りや水漏れする箇所がある
・給排水管の詰まりや故障がある
・建材にアスベストが使用されている
・地盤が不安定で歪んでいる
・有害物質による土壌汚染がある
・地中にゴミや廃材などの埋設物がある
水漏れの点検
※イメージ写真

心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、買主が嫌悪感や抵抗を抱くような心理的な欠陥のことをいいます。不動産に心理的瑕疵がある場合が、いわゆる事故物件と呼ばれているものになります。具体的には以下のような例があります。

・過去に殺人や事故死、自殺などの事件や事故があった
・近隣に迷惑行為をする人や指定暴力団構成員等が居住している
・現在は修復されているが、小火(ぼや)や自然災害による浸水や部分損壊があった

また、心理的瑕疵には告知義務があるものがあります。これまでどういった事案をいつまで告知しなければならないかという明確なルールがありませんでしたが、住宅内で起きた人の死に関する告知事項については、国土交通省が2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」※1を策定しました。

また、告知義務については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

●告知義務に関する記事はこちら

「告知事項あり」の意味とは?契約の前に確認するべきことを解説

告知事項や心理的瑕疵についてご紹介しています。

法律的瑕疵
法律的瑕疵は、法律的に問題のある欠陥のことをいいます。不動産の法律的瑕疵に関係する代表的な法律は、「都市計画法」「建築基準法」「消防法」などがあり、それぞれ以下のような例があります。

都市計画法の例 建築基準法の例 消防法の例
開発行為が基本的に認められていない市街化調整区域内に無許可で建物が建っている 土地の面積に対して建てることのできる建物の延床面積の割合を定めた容積率や建ぺい率をオーバーしている 火災報知器やスプリンクラー、防火扉や避難ハシゴなどの設置義務を満たしていない
新築時には適法だった建物が現在の法律や条例に照らすと不適合状態になっている「既存不適格物件の状態」である

このほか、文化財保護法や農地法など本来守るべき法律の要件を満たさず建てられた建築物は、法律的瑕疵に該当します。

●建ぺい率や容積率に関する記事はこちら

建ぺい率と容積率とは?計算方法や条件緩和について解説!

建ぺい率や容積率について詳しくご紹介しています。

環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、対象の建物ではなく、その建物の周辺環境に問題がある場合のことを指します。具体的には、異臭や騒音、振動といった原因となる施設が近隣にあったり、そのほか墓地や火葬場などがあったりすることが挙げられます。環境的瑕疵に該当するものは、人それぞれ感じ方が違うため判断が難しいケースが多いといえます。たとえば、踏切の音や飲食店の料理臭など、人によっては全く気にならない場合があり、環境的瑕疵は人の感じ方で瑕疵といえるかどうかが変わってきます。

不動産の瑕疵に対する責任とは?

これまで見てきたように、不動産の瑕疵の種類はさまざまです。当初からそのような不動産の瑕疵が分かっていれば、購入をやめたり、それを納得して購入したりできます。ところが、現実は全ての瑕疵が確認できるわけではなく、「隠れた瑕疵」もあります。なかには、不動産の売買契約を締結した後に気付くこともあれば、買主が実際に引渡しを受けてから気付くこともあります。

そこで、不動産売買においても、民法で定められた内容に従って、引渡した建物や土地に瑕疵が見つかった場合、買主は売主に対して責任を追及できます。

法律イメージ画像
※イメージ写真

売主が買主に対して負う責任
不動産の売主は、買主に対して不動産の瑕疵について責任を負います。この瑕疵に対する売主の責任について、2020年4月1日の改正前の民法では「瑕疵担保責任」と定義してその責任の範囲を規定していました。ただし先に述べた、改正民法では「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」という概念に置き換わっています。

改正前は、物件に「隠れた瑕疵」があり、物件購入後にその瑕疵が見つかった場合、売主は買主に対して瑕疵担保責任が生じ、買主は瑕疵を発見してから1年以内に「損害賠償」の請求または目的が達せられない場合は「契約解除」することができました。

民法改正でより重くなった売主の責任
改正民法では、「瑕疵」という文言は使われず、「契約の内容に適合しないもの(契約不適合)」という表現になりました。改正前は不動産をはじめとする「特定物」に限り「瑕疵担保責任」の対象としていましたが、改正民法では、特定物・不特定物を問わず「契約不適合責任」の対象となりました。

また、改正前は、売主は「不動産に瑕疵が見つかった場合に責任を負う」という考え方から、改正後は「売買した土地や建物がこれまでの瑕疵以外でも売買契約の内容に適合しない場合は責任を負う」という考え方に変わりました。それに伴って、「瑕疵」や「隠れた瑕疵」でなくても「契約内容に適合しない場合」であれば買主は売主にその責任を追及できるようになり、より売主の責任の範囲が広がったのです。

家と契約書
※イメージ写真

買主が請求できる5つの権利
契約不適合責任として買主が売主に請求できる権利は以下の5つです。

契約書と虫眼鏡
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●[ 1 ] 追完請求
追完請求とは、契約内容に適合しない部分、つまり不具合の補修や、代わりのもの、不足分の引渡しを求める買主の権利です。たとえば、雨漏りする箇所はないという契約内容で売買したにもかかわらず雨漏りが存在した場合は、雨漏りの補修を請求できます。

●[ 2 ] 代金減額請求
代金減額請求とは、追完請求をしても売主が補修しない、あるいは補修することが困難である場合に、売買代金の減額を請求できる権利です。追完請求の補完的な請求権であり、補修や交換などを請求しても行ってもらえない場合に限って請求できるというのがポイントです。

●[ 3 ] 損害賠償請求
損害賠償請求とは、履行利益を含む損害賠償を請求する権利です。履行利益とは、契約が適正に履行されたならば、買主が得られたであろう利益です。

以前の瑕疵担保責任で認められていた損害賠償請求の範囲は「信頼利益」に限られていました。信頼利益とは、契約が有効だと信じたために発生した損害のことです。支払う必要のなかった損失を請求できる権利はあったのですが、契約が有効だった場合に得られたであろう利益を請求することはできませんでした。

●[ 4 ] 催告解除
催告解除では、売主が先に説明した追完請求に応じない場合に、買主が催告して契約を解除できます。催告解除では、これまでの瑕疵担保責任では「契約の目的を達せられない場合のみ」契約解除が可能だったものが、契約の目的を達することはできるものの、補修や交換など軽微なものでない不適合でも解除できることになります。権利が行使された場合、買主は引渡しを受けた土地建物とその所有権を返還し、売主は売買代金を返還することになります。

●[ 5 ] 無催告解除
無催告解除とは、催告せずに売買契約を解除する権利です。ただし、契約に合致しないことにより「契約の目的を達することができない場合」に限ります。裏を返すと、不動産における契約不適合が契約の目的を達成できる程度の場合には、無催告解除は認められないことになります。

契約書を破る人
※イメージ写真

また、民法改正によりこれらの権利を行使する期間も変更されました。

改正前の民法で定められていた瑕疵担保責任は、瑕疵の存在を知ったときから1年以内に権利行使をする必要がありました。つまり、契約の解除や損害賠償請求の権利を瑕疵の存在を知ってから1年以内に行使する必要があったわけです。しかし、民法改正後の契約不適合責任では、契約不適合の事実を知ったときから 1年以内に通知をすればよいことになりました。つまり、相手側(売主)に不適合の存在を知ってから「通知」をすればよく、権利行使はその後でもよくなりました。また、売主が契約不適合につき悪意または重過失であった場合には行使期間に制限はありません。

契約書の確認
※イメージ写真
契約前の慎重なチェックが重要!

不動産における契約不適合があった場合には、その不適合部分の修理や交換などの費用負担は売主となります。前述のとおり、買主は以前より法律的に保護されることになりました。新築住宅では、売主である不動産会社や建築会社が、これまでの瑕疵が見つかった場合に備えて、民法改正前から住宅の構造耐力上の主要な部分と、雨水の侵入を防止する部分に対する瑕疵担保責任保険への加入が義務付けられていますが、中古住宅では加入義務はありません。

中古住宅の売主が契約不適合責任に備えたい場合、個人が売主の中古住宅で、既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵担保責任保険)に加入するには、住宅の検査を受け、その検査を行う検査事業者が保険に加入することになります。売主が不動産会社の中古住宅の場合は、その不動産会社が加入することになります。なお、瑕疵担保責任保険が適用されるのは、建物の構造耐力上主要な部分(基礎、屋根、柱、壁、床など)と雨水の侵入を防止する部分(屋根、開口部、外壁など)に限られます。

一方、保護されているとはいえ買主側も不適合部分が見つかれば大変です。売買後に重大な隠れた瑕疵や不適合部分が見つかった場合、買主の権利を行使するには手間がかかり、実際に居住している場合は日常生活に支障をきたすこともあります。

住宅の点検
※イメージ写真

できれば、売るほうも買うほうも安心して不動産取引をしたいですよね?不動産の瑕疵をはじめとする契約不適合は売主と買主間の大きなトラブルの原因になります。不動産売買取引で、契約不適合に起因するトラブルをできるだけ防ぐには、まず売主が自分の知り得る故障や不具合について、正直にかつ正確に買主に告知することです。そのうえで、買主とその故障や不具合の箇所についてどうするか契約時に話し合って決めておくことが重要です。

買主は、契約書だけではなく、重要事項説明書や物件状況報告書(告知書)、付帯設備表を慎重にチェックし、疑問に思うところは売主に説明を求め、互いに合意を得ることが大切です。チェックするべき事項は、重要事項説明書や告知書、付帯設備表に記載されている内容と実態が合っているか、売却後の責任の範囲、売主の契約不適合責任の適用期間などです。

売主は、あらかじめ契約書類に記載された内容と物件の実態に不適合がないかをしっかり確認しましょう。もし、物件に不具合がある場合は、売主はきちんと契約書や重要事項説明書、告知書、付帯設備表などで告知しておく必要があります。

●重要事項説明に関する記事はこちら

重要事項説明書はどこを見る?チェックすべき4つのポイント
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家の売買契約の際に必ずチェックしておくべき重要事項説明書について、チェックポイントをご紹介します。

また、中古住宅の売買では、安心して売買を行うためにインスペクション(建物状況調査)を行うというのも1つの方法かもしれません。インスペクションは、住宅や施工に詳しい建築士や土地家屋調査士などの専門家が、住宅の劣化状況や欠陥の有無などを可能な範囲で検査し、評価するものです。

インスペクションのように、第三者が物件の現状を確認することで、これまで気付かなかった建物の不具合箇所を発見できる可能性があり、そうした事実が分かれば買主に事前に告知でき、その後のトラブルを防ぐことにつながります。中古住宅の売却を考えている人は、インスペクションの利用を検討してもよいかもしれません。

なお、インスペクションを行うには建物の所有者の了解が必要になります。売主が実施する場合は自ら依頼すれば可能ですが、買主が実施するには売主の許可を取らなければなりません。従って、現実には売主がインスペクションを行って売買することは散見されますが、検討している物件に対して買主が実施するのは非常にハードルが高くなります。

●インスペクションに関する記事はこちら

インスペクションの意味は?不動産の売買前に知っておきたい基礎知識
インスペクションの意味は?不動産の売買前に知っておきたい基礎知識

中古住宅の売買の際に役立つインスペクションについてご紹介します。

不動産売買の仲介業者を選ぶ際には、不動産における契約不適合責任についての理解が深く、売主の責任について未然にトラブルを防ぐためのアドバイスや買主の注意すべき点についてきめ細かくサポートしてくれる会社を選ぶのがおすすめです。

また、現在住み替えや中古住宅の購入を検討中で、本記事の内容を踏まえ、新築住宅についても選択肢に入れてみようと思われる方は、長谷工アーベストへご相談ください。長谷工アーベストでは、住まいに関するご相談を無料で承っており、40万戸を超える取引実績で得た不動産に関するノウハウでお客さまをサポートしていますので、安心してお任せください。

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※1出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001427709.pdf
(最終確認日:2023年5月18日)

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。
HP:http://2103-support.jp/?page_id=14